ロスグラシアレス国立公園 (Argentina)

エルカラファテから氷河を見に行く。

進路は西。
本来なら向かい風のところ、幸運なことに無風。

48km進み、ロスグラシアレス国立公園のゲート手前でこっそりキャンプ。

目的地であるペリトモレノ氷河はロスグラシアレス国立公園内にある。
この国立公園は、原則日帰り。
公園内に宿泊施設はなく、キャンプも禁止されている。
夏季の現在は8~18時オープン、夜間はクローズ。
しかしカラファテからペリトモレノまでは77km、1日で往復するには厳しい。
考えられるプランとしては、ゲートの手前でキャンプして、翌朝一番で入園、約30km走って氷河まで行き、その日のうちに退園してカラファテまで戻る。

天気予報はチェックしてきたが、なんだか雲行きが芳しくない。
昼から翌朝まで雨がぱらついた。

翌朝、8時に入園。
4000ペソ(2080円)。

雨はやんだけど、もっとスッキリと晴れてくれないとな。
晴天と曇天とでは、氷河の輝きがまるで違う。
ここはぜひとも最高の輝きを見たい。

ゲートから氷河まで約30km。
この湖畔の道も美しい。

氷河が見えてきた。

これは盛り上がる。

自転車で来ているのは僕だけ。
ほとんどがバスやレンタカー、あとはバイクがちらほら。
せっかくのこんな眺めをただ走りすぎるだけなんて不憫すぎる。
いつでもどこでも立ち止まって風景を楽しめるのは自転車の特権。

ズーム。

そして徐々に晴れ上がっていく。
すっかり気分高揚。

氷河というと寒いイメージがあるかもしれないが、Tシャツ短パンでもちょっと暑いぐらいの陽気。

早くたどり着きたい気持ちと、ゆっくり風景を楽しみたい気持ちと。
30kmってまあまあの距離。

最後の登り。
昼ぐらいになると大型バスがバンバンやって来て僕を抜いていく。
混雑する前に着いときたかったな。

到着。
売店、レストランあり。
僕は時間がないのでここでは何もしない。
ゴミ箱があるのは園内でここだけ、キャンプで出たゴミを捨てられる。

いよいよ間近に。
自転車を置いて、ここからは徒歩。
鉄製の遊歩道に沿って進む。
トレイルよりもこういうタイプの方が自然へのダメージが少なそうだ。

ペリトモレノ氷河。

北極、グリーンランドに次ぐ世界第3の規模を誇る南パタゴニア氷原。
この氷原から流れる48の氷河のうちのひとつ。

世界中の氷河が減退傾向にある中、ペリトモレノは今なお変わらず生き続けている。

(湖面から)60m、20階建てビルの高さに相当する氷塊。

長さ30km、終端部の幅は5kmにおよぶ。

あちこちから軋む音、破裂するような、あるいはヘシ折れるような音。

1日に2m前進し、最後に崩落して湖へと溶けこんでゆく。

圧縮されて気泡を失った氷は、光の赤系の波長を吸収し、青の波長を反射する。

ここはパタゴニア随一の観光地。
つい先日まで僕の気が滅入っていたのは観光地ゆえの人の多さ。
イグアスの滝みたいに、家族連れでごった返してたりインスタ撮影大会で渋滞発生とかだったら、何も楽しめやしない。
しかしここは恐れていたほど人は多くなく、年齢層も高く落ち着いた雰囲気。


去り際に、轟音とともに氷塊が崩落するのを見た。
一瞬のことで動画は撮れず、目に焼き付けた。

15年前、いやもう16年前になってしまったが、2006年の写真。

ずっと見ていたい、惹きつける魅力がこの氷河にはある。
しかし時間がない。
13時。
これから77km走ってカラファテの街に帰る。

来た道を戻る。

晴れ上がると、朝とはまた別の表情。

いちいち立ち止まりたくなる。

でかいなー。

ペリトモレノが溶けこむアルヘンティーノ湖。

氷河湖の上では雲もエメラルド色に。

写真じゃ伝わりにくいかな。

カナディアンロッキーの湖にも匹敵する輝きを放つアルヘンティーノ湖。
その輝きと色彩はどうも写真にはうまく反映されない。

ここも、ずっと走っていたくなる。



行きは無風だったのに、帰りは超絶追い風。
なんだかすべてが僕の都合に合わせてくれているようで申し訳ないぐらいだ。
また座ってるだけでビュンビュン状態。
登りでもグングン背中を押してきて、怖いぐらいだ。
18時半、カラファテの街に帰還。
いやー、来てよかった行ってよかった。


El Calafate, Argentina

10449km (Total 147143km)



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