アルゼンチン(Las Cuevas) → チリ(Portillo) 国境越え

アコンカグアを見た後、不意に直感が舞い降りた。

「このままチリに行っちゃえば?」

当初の予定では、アコンカグアを見たらメンドーサに戻ってアルゼンチンをしばらく南下し、その後チリを北上するつもりだった。
しかし気分はもう「山!」になってしまった。
アンデスのふもとのアルゼンチン平原地帯を走り続けるのもいかがなものか。
このままアンデス山中のチリを走りたい。

こういう直感には逆らえない。
そんなわけで、急遽チリの入国条件を調べて、プエンテデルインカの宿に戻って準備を整えた。
Wi-Fiはないが電波が安定しており、SIMのデータ残量もたっぷりあったので助かった。

アルゼンチン側

国境より15kmほど手前、プエンテデルインカとアコンカグア展望地の間にあるAduana Argetinaで出国手続きをする。
事前に確認しておかないと気づかずに素通りしてしまう可能性大。


今までの交通量の多さで予測はしていたが、多くの車が列をつくって待機していた。
皆さんパスポートではなくIDカードと何やら書類を提示して、家族分をまとめて手続きしているので車1台分でもえらい時間がかかる。
僕は、パスポートを提示するだけで完了。

その後、皆さん車の中の荷物をチェックされていた。
僕は、係員が自転車と荷物を一瞥しただけで中を見もせずに「行っていいよ」、でフィニッシュ。

手続き自体は瞬時に終わるが、ムダに待たされたりなどあって、所要トータル20分ほど。

その後、しばらく登り。

後ろを振り返る。



標高3100m。
国境の手前に検問がある。

国境はトンネルになっている。
長さは3.5kmほど。
事前にストリートビューで見てみたところ、自転車が安全に走行できるような幅はない。

案の定、警備員に「自転車はダメだ」と止められた。
今までも歩行者自転車禁止の国境はいくつかあったが、越境する一般車両にお願いして乗せてもらうことが多かった。
ここでは、国境警備の車両に乗せてもらうことになる。
すぐにというわけにはいかず、しばし待機。
警備員たちは僕を見るたびに気さくに話しかけてくれる。
待機中、何台かの車が出国手続きをせずにここまで来てしまったようで、突き返されていた。
かわいそうに、車とはいえ往復30kmはダルいだろうな。
なんで国境からあんな離れた目立たないところにイミグレーションをつくってしまったのか。

30分ほど待って、車両の準備ができたということで乗せてもらった。

トンネル移動中も警備員と楽しく会話をして、あっという間にチリ側へ。

ちなみに15年前もここで越境したが、トンネルをくぐった記憶も車に乗せられた記憶もない。
新しくつくられたトンネルだそうで、どうせつくるなら自転車も安全に通過できるぐらい幅広にしてほしかったな。

チリ側

ここからはひたすら下り。



トンネルを抜けて4kmほど下ったところで入国手続きをする。


必要なもの
・パスポート
・ワクチン証明
・マスク

やはり多くの車が列をつくって待機している。
係員がやってきて、マスクを着用するように言われた。
敷地内はマスク必着のようだ。
今回の旅では初めてのこと。
この係員に、ワクチン証明を提示する。

長時間待機している人たちには申し訳ないが、自転車は割り込ませてもらう。
みずから割り込むわけではなく、係員がそう指示してくれるのだ。

窓口でパスポートを見せると、日本語で「コンニチハ!」と言われた。
特に質問もなく、スタンプが押された。
なにやら入国の情報が印字された紙切れを渡されたので、保管しておく。

90日以内の滞在であればビザ不要。

※動植物検疫宣誓書(SAG)

SAGと呼ばれる動植物等の持ち込みに関する宣誓書が必要。
事前にオンラインで作成し、そのPDFを見せたら「PDFじゃダメだ」と紙を渡され、まったく同じ内容の紙に書かされた。
何この意味不明な二度手間、チリも過去に生きてるんだな。

もちろん英語用があるが、質問の英文がやたらとまどろっこしい言い回しで、ちゃんと読解しないとyesとnoを逆に答えてしまいそうになるので注意。
すべてnoで答える。

この紙を渡した後、荷物をすべて機械に通して、フィニッシュ。

※モビリティパス(Paso de Movilidad)

チリの行政が発行するワクチン証明。
2022年8月31日までは入国時にこれが必要だったが、現在は不要。
ただし引き続き、チリ国内のホテルやレストランや交通機関を利用するのにこの提示が求められることがあるらしい。
表向きはそうなっていても、実情はもうすでに形骸化している可能性が高いが、準備しておくに越したことはない。

MeVacunoで申請。
アカウント作成、個人情報の入力、ワクチン情報の入力、と3ステップになっている。
個人情報のステップでは、パスポートの写真をアップ、さらにそのパスポートを持っている自分の顔の自撮りもアップする。
ワクチン情報のステップでは、QRコード付きの証明書の画像アップなどが求められる。
たかがワクチン証明にしてはあまりに厳格すぎる。

数ヶ月前の情報によると、申請から承認まで2週間もかかり、もし入力ミスなどで承認されなかったらさらに2週間かかる、などと書かれていて一瞬絶望感に陥った。
が、現在は申請から48時間以内にメール返信が来る、とのこと。
実際には12時間で返信が来て、無事承認された。
送られてきたPDFを保存しておく。

イミグレーションの敷地内に両替所があり、いくらかチリペソを入手しておいた。

所要トータル20分ほど。

今まで通り、英語を話せる係員はほぼいない。
ここはスペイン語文化圏だから、と言ってしまえばそれまでだが、さすがにこういう国際的な場では最低限の英語ぐらい話せるよう勉強した方がいいんじゃないかな。

無事入国を果たせたが、チリは今までの国とは一味違う、神経質さを感じさせた。
いまだマスク離れできていないこと、紙離れできていないこと、まるでどこかの国みたいだ。

15年前。



Santiago, Chile



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