サンティアゴ→バルディビア (Chile)

サンティアゴは一国の首都としては規模は大きくなく、中心地から20kmも走ると視野が開けて走りやすくなった。
しばらく高速走行。

チリの国土は日本のちょうど2倍。
南北の長さは日本の1.5倍ほどで4329km、東西の幅はその10分の1という異様な形状。
国土の8割が山岳地帯だが、メインロードはフラットが続くようだ。

宿が高すぎて泊まれないので、WARMSHOWERS様様に頼ることになる。

久々のWS泊。
ホストは英語を話せる。
ギター弾きで、なんとエリック・ジョンソン・モデルを所有している。

ストラトキャスターが世に出た1954年に生まれたエリック・ジョンソン。
このモデルも1954年式。
通常のストラトはリアピックアップでトーンコントロールできないが、エリック・ジョンソンは配線を変えてリアでトーンコントロールできるようにしている。
現在日本の実家に置いてある僕のストラト2本も同様に配線を変えてある。

「弾かせて!」
とその時流れていた曲に合わせて弾いてみたら、驚いて喜んでくれた。
彼も一応サイクリストなのだが、自転車の話などそっちのけでギター談義で盛り上がった。

ただ、張られていた弦が細すぎたようで、ちょっと熱くなって1音半チョークしたら、1弦を切ってしまった。
僕のピッキングが強すぎたわけではない、弦が細かったのだ。
いや申し訳ないことをした。

街に立ち寄ることもなく高速走行。
何か買うなら時折現れるGSで。

駄菓子程度のパン類とコーヒーで、計8990ペソ(1354円)。
アルゼンチンだったらホテル1泊分のお値段。

河原でキャンプ。

チリの環境汚染もひどい。
サンティアゴ中心部を流れる川は、見るに耐えないドブ川でゴミだらけだった。
都市からだいぶ離れたが、アンデスの山々から流れる川はやはり汚なく、河川敷にはゴミが散乱している。
今までの自然の中での河原キャンプとは違い、清々しい気分にはなれない。

昨今はカーボンニュートラルということで、店でレジ袋をくれない国が増えている。
欧米主導の世界に歩調を合わせるため、とりあえず「やってる感」を出しているだけなのだろうが、こういった発展の遅れた国では順番がメチャクチャになる。
CO2云々よりも先に、まずは川をきれいにしてくれ、ゴミを捨てないでくれ。

ただ、人間生きてりゃゴミを排出するものだから、そのゴミをまとめるための袋は必要。
有料でもいいから、買い物したら袋ぐらいくれよ。

山岳走行を楽しみにしていたのだが、道はフラット、風景はファーム。

チリの人口は1911万人。
サンティアゴ以南は希薄になると期待していたのだが、中途半端な小都市が点在し、交通量も多く、大自然は一向に現れてくれない。

唯一の救いは、路肩がまともに舗装されていること。
安全に走行できるスペースが確保されている、これでどれだけの安心感が得られることか。
いやこれがふつうで、アルゼンチンが異常だったのだ。

この日も河原キャンプ。
一度テントを張ったのだが、夕暮れ時になって釣り人たちが続々と現れた。
危険は感じなかったが、テントの近くに人の気配があると落ち着いていられない。
やむをえず、別の川まで移動した。

だいぶ日が長くなった。
冬至から3ヶ月がたち、今ここでは日の出が7:30、日没が19:53。
活動時間が長く、余裕が持てる。

翌日。
久々の雨天走行。
晴天続きだったアルゼンチンとは違う。
太平洋から来る湿った空気が山にぶつかって雲ができやすいため、雨もよく降る。

またWS泊。
チリ人はほとんど英語を話せないが、ホストは二連続で英語を話せる人。

この日はBBQをやるということで、夕方ぐらいから友人たちが集まり、かれらも英語を話せるのでしばし談話した。
ところが、かれらはテレビでサッカーを見ながら酒を飲んでいるだけで、いつまでたってもBBQを始める気配がない。
僕の勘違いか?

22時をまわったところで、僕は空腹の限度を通り越して麻痺状態になり、睡魔に襲われた。
手持ちのチョコチップクッキーだけを食べて、就寝。

翌朝8時。
ホストはまだ寝ているようだったので、メッセージだけ残してそっと出発することにした。
庭には、BBQの残骸が放置されていた。
まさかあの後、真夜中にBBQをやったというのか。

恐るべしシエスタ文化。
なにゆえに、わざわざ深夜にBBQをやる?
そこまでして晩メシの時間を遅らせる理由は何なのか、僕には皆目見当もつかない。

イスラムのラマダンは、日中は飲食禁止で日没後に皆で食いまくる、という宗教上のイベント。
ラテンのシエスタは、意味もなく深夜まで飲まず食わず、しかも明確な時間も伝えてもらえず耐え忍ばなければならない、という謎の拷問。
晩メシがチョコチップクッキーだけなんて、人生で初めてだったかもしれない。

翌日。
たまには宿に泊まってみるかということで、Booking.comで最安宿を予約。

部屋は個室だがバスルームは共用。
21064ペソ(3179円)。

日本の昭和の木造アパートのごとく、歩くとギシギシときしむ。
蛇口を閉めても水がボタボタと垂れたり、排水溝が詰まって流れが悪かったり。
汚くはないが、全体的にボロい。

キッチン完備はありがたい。

オーナー夫婦がとても親切にしてくれたので悪い気はしないが、これで3000円超えはない。
しかし予約サイト上を見る限り、これより安いホテルはほぼない。

スーパーの食材も高すぎて、本当に最低限の物だけを厳選しなければならない。
もちろんクオリティが高いわけではなく、ただ値段だけが高い。

大正義の鶏モモは420gで1004ペソ(151円)。

鶏モモと内臓系は、どこへ行っても節約派の味方だ。
牛や豚は高すぎてとても手が出ない。
生肉を持ち運べるぐらいの気温なら毎日鶏モモを買うのだが、さすがにそれは無理があるので、キャンプする日はソーセージを買う。
ソーセージがまた最底辺のマズイやつがバカみたいに高い。

米はやはりほとんどがロンググレイン。
どんなに物価が高かろうが、僕はロンググレインは絶対買わない。
しかしSUSHI用の米は400gで2349ペソ(352円)、限度を超えている。

そこで、パエーリャ用の米を買ってみた。

1kgで2090ペソ(313円)。
炊いてみたら、ふっくらと柔らかくて、うまい。
はっきり言って日本の米と同じ仕上がりになる。
SUSHI用の米の半額以下だが、これでも寿司はつくれると思う。

炭酸3L、1990ペソ(300円)。

ジュース1.5L、1090ペソ(164円)。

チョコチップクッキー、1340ペソ(202円)。

こういった安めのスーパーで厳選すれば、なんとかやっていける。
GSでは買わない方がいいようだ。

聞いた話によると、コロナで劇的な物価上昇が始まり、ウクライナの影響はそこまででもない、とのこと。
チリ人にとっても、賃金は上がらず生活は苦しくなっている。

南米では、ウルグアイとチリが最も経済が安定している優秀な国だと言われているが、それは目に見えない数字の話。
旅行者の目線で目に見えるものだけの話なら、ブラジルもパラグアイもウルグアイもアルゼンチンもチリも、水準としては大差ない。

僕の率直な感想としては、チリはロークオリティ・ハイプライス。
チリの何に対してこんな高い金を払わないかんのか。
今は円が弱いからそう感じる、という悲しい現実も承知の上。
アメリカ人だったら、今は世界中どこへ行っても安く感じるのだろうな。

富士山そっくり。

ジャイマ山(3125m)。

きれいに雪をかぶっているが、頻繁に噴火している活火山。

また河原キャンプ。
そしてまたWS泊。
ホストは英語話せず。
十分に手加減してくれればスペイン語でもやりとりはできるが、自在に会話するのはまだ程遠い。

過去のWSでは、9割以上のお宅で朝晩の二食が提供されたが、チリでは今のところ食事は一切出ない。
出されたとしても深夜まで飲まず食わずで耐え忍ぶという人道的危機から回避するためには、キッチンを使わせてもらって自炊した方がいい。

しかしチリのWSは承諾率が高くて助かっている。
母数は決して多くないのだが、メッセージを送ると高確率で良い返事が来る。
他の国だと、大半は返信をくれなかったり、返信が来てもそっけないお断りだったりで、こちらも大量にリクエストを送らなければならなかったりする。


Valdivia, Chile

8006km (Total 144700km)



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