サンパウロ→アンドラディナ (Brazil)
再びサンパウロの都市圏へ。
中心地は避けて周辺をかすめるように突っ切ってみたのだが、これがまた難儀した。
むしろ中心地の方が自転車レーンが整備されて走りやすく、周辺地域は自転車が通れるスペースは確保されていない。
歩道寄りの車線はバスでごった返し、歩道は人でごった返し、なかなか進めず大変だった。
それから、ファベーラも突っ切った。
特に危険は感じなかったが、貧困スラム街でこんなカッコいい自転車に乗った外国人は、まあ浮く。
また労働者が集まるホステルで1泊。
もう市街観光はしないので寝るだけ、寝れれば何でもいい。
ドミトリー1泊30レアル(786円)。
前日までファームでたらふく食わせてもらっていたので今夜はジャンクでいいか、とマクドナルドへ。
Big Tastyのセットにアップルパイをつけただけで、42レアル(1139円)。
なんで宿泊費よりマックの方が高いんだよ!?
先日会った日系人たち、日本に住んでたことがあるという人もいて、「日本の物価はブラジルとは比べ物にならないほど高いですよね」と言っていたが、今やブラジルの方が高いですよね?
翌日。
ここからはまたしばらく高速走行。
都市圏の走行は気が休まらないが、一般道の走りづらさを思うと高速はスムーズに進めていい。
サイクリストたちは追い越しざまに僕に声をかけてくれる。
あんな集団でかたまって走って大丈夫かな、でもドライバーもサイクリストも慣れた様子。
この日は調子良く120km走行。
ようやく都市圏を抜けて、ホッと一息。
相変わらずポルトガル語はからっきしダメだが、買い物やらの日々のやりくりはさすがに慣れて、自然に街を歩く。
会う人会う人、皆良くしてくれる。
特に何でもないこういう日常も旅の楽しみ。
たまたま泊まったホステルのオーナーが日系人だった。
都市部を抜けた田舎街で日本語で会話できる、不思議。
この部屋どころかこの宿で客は僕一人だけ。
この料金で個室同然。
ブラジル人の接客は決して悪くないが、やはり日本人の接客は気遣いがとても細かく、丁寧にもてなしてくれた。
眺めも良い。
朝食付き。
引き続き高速走行。
都市でもビーチでもない、人口希薄な田舎道が落ち着く。
なんと、追い風&フラット。
幅広い路肩、なめらかな路面、スイスイ進める。
こんな風に条件がそろうことはなかなかめずらしい。
天気もすっかり回復。
洗濯物もよく乾く。
爽快。
朝の気温、7℃。
これぐらい気温が落ちるとキャンプしたくなるが、あいにくファーム地帯。
だだっ広い土地の隅から隅まで私有地になっており、テントを張るのはほぼ無理。
この日も120km。
大きな街でなくてもホステルがあるから助かる。
引き続き、追い風&フラット。
ガンガン進む。
木陰で休んでたら、ハキリアリに足を噛まれた。
いてえ。
こんなイカツイ顎と牙を持っていたのか。
自分の何千倍ものサイズの相手に噛みついてダメージを与える。
それに比べると人間の咀嚼力はなんと貧弱なことだろう。
翌日。
アップダウン開始。
やはり好条件というのはそう続かないものだ。
こんな幅広い路肩を無料で走らせてもらえているので贅沢は言えない。
アップダウンの連続でも1日100kmペースを保てるほどには条件は良い。
ちなみに所々で料金所が現れるが、自転車はスルーできる。
でも過去に、ずっとスルーだったのに途中で突然止められた、なんてことも経験したことがあるので、料金所の通過は少し緊張感がある。
ひたすらファーム。
パンクが多い。
旅を始めてまだ1ヶ月だというのに、7度のパンク。
すべて後輪。
そのうち2度はチューブ修復不能なほどデカイ穴が開いたので、チューブは3本目。
僕の知っているシュワルベマラソンは、とんでもなく強靭だったはず。
しばらくはパンク知らずで、1万km以上走ってからヘタってきてパンクが始まるぐらいの耐久性。
ここ数日は、毎日どころか1日2回ペースでパンク。
一体どうしたことだろう。
ハイウェイの路肩にはバーストしたタイヤが散乱していることが多く、細かい鉄の繊維が刺さりやすいのかもしれない。
にしても、旅を始めたばかりでこれは多大なストレス。
引き続き、エンドレスアップダウン。
標高が下がったせいか、日中はかなり暑い。
炭酸がみるみるなくなっていく。
いろいろな種類の宿があるが、無人宿というのもたまにある。
予約時にだいたいの到着時間を知らせておくと、それに合わせて宿の人が待ってくれていたりすることもある。
この日の宿は本当に誰もおらず、敷地内に入るパスコードや必要な情報をWhatsAppで送信してくれた。
それが宿泊日当日だったりするので、やはりSIMは必要。
ネット接続できなかったら、敷地に入る術がなく宿泊できなくなる。
ここに僕一人で泊まる。
シングル1泊70レアル(1834円)。
共同キッチンあり。
炭酸を買い込み、冷蔵庫でキンキンに冷やしてガブ飲みする。
買い出しに出かけたら、どういうわけかスーパーも含めほとんどの店が閉まっている。
これは困った、とまたWhatsAppで宿の人に聞く。
「今日は祝日で店は閉まってる、でも大型スーパーなら開いてる」、と大型スーパーの場所を教えてもらった。
助かった、こういうのは地元民に聞かないとわからない。
顔も知らない宿の人と、こうやってメッセージを交わすのも不思議な感じ。
やりとりは当然ポルトガル語で、Google Translateで疎通するというチートっぷり。
大型スーパーでは、日本食品の充実ぶりがすごい。
醤油コーナーだけでこのバリエーション。
「タレ」は「Tarê」。
海苔、味噌、出汁、ふりかけ、何でもある。
「柿」は「CAQUI」。
帰り道。
宿のすぐ近くで、カラオケで演歌を歌っているのが聞こえてきた。
日本語だなあ。
ふと気づくと、そこにはお寺が。
潜入してみた。
カラオケはこの敷地内でやっているようだ。
声をかけてみたら、皆さん日系人で、日本語はあまり通じない。
でもこのお寺の住職をされているご夫婦は日本人で、2ヶ月前からここに赴任されたようで、日本語で会話できた。
たまたま泊まった宿の1ブロック隣にお寺があって日本語でお話ができるなんて、驚き。
日系人の方が亡くなられると、ここで葬儀をあげたりもするそうだ。
翌日。
追い風終了、向かい風に。
やはり好条件は続かないもの。
アップダウンは相変わらず。
それでも110km進み、街に到着。
雲ひとつない晴天だったのに、瞬く間に雨雲がやって来て、激しく降り始めた。
ここでまた連泊かな。
Andradina, Brazil
1956km (Total 138650km)