オークランド→トンガリロ (New Zealand)
新たなスタート。
上陸前にメキシコのカンクンで買った。
日本の通販でざっと検索してみると、自転車用ヘルメットは1000円ぐらいからある。
ヘルメットなんぞ飾りでしかないのだからおもちゃレベルでいいのだが、スポーツ車専門店で売っている有名ブランドだと安くても1万円以上する。
ローカルな店でなんとか420ペソ(3577円)の最安ヘルメットを見つけた。
左側通行。
ニュージーランドはイギリス連邦に属しており、イギリス国王を元首とする立憲君主制国家。
アフリカ南東部、インド界隈、東南アジア、オーストラリア、などイギリスの影響下にあったエリアは左側通行が多い。
都市圏でも、さほどストレスなくスムーズに進めた。
完全ではないが基本的には自転車レーンがあり、ドライバーもサイクリストも互いを尊重し余裕をもって運転しており、脅威を感じさせない。
バスやタクシーにことごとく進路妨害されることもない。
自転車が乗り物として公認されてテリトリーを与えられている、だからルールも曖昧ではなくヘルメットも必着。
日本もこれぐらいしっかりと環境整備してくれるのならヘルメット被ってあげてもいい。
ただ、例によって都市圏のハイウェイは自転車禁止の高速で、それを避けるためローカルロードで遠回りさせられる。
個人経営の小さなキャンプ場。
NZ$35(3035円)。
シャワーなし、キッチンなし、簡易トイレ、電源あり、Wi-Fiあり。
雨から逃れられるような建物もなし、ピクニックテーブルもなし。
この条件だったら1000円以下が妥当、やはりこの国の物価も侮れない。
客は僕だけ。
こういうところではキャッシュオンリーだったりするので、ニュージーランドでも最低限の現金を用意しておかないといざという時に困る。
一応草は生えているが、草の隙間の土がぬかるんでドロドロ。
買ったばかりのニューサンダルをここで下ろす気にはなれなかった。
テントはドロドロになり、翌朝たたむ際も泥まみれになった。
大金払ってシャワーも浴びれないわドロドロに汚れるわ、割に合わんな。
1642年オランダ人のアベル・タスマンがオーストラリアとタスマニアに次いでこの地を発見。
タスマンの出身地であるゼーラント州にちなんで「新しいゼーラント」と名付けられた。
1769年イギリス人のジェームズ・クックが来航、以来イギリスによる入植が始まった。
マオリ人の土地はイギリス人に奪われ、イギリス人が持ち込んだ感染症によって人口激減、戦争勃発、差別の時代も長く続いた。
しかし早い段階で融和政策もとられ、1864年にはマオリ人に選挙権が与えられた。
1893年、世界で初めて女性参政権を実現。
2013年、同性婚を認める法案が可決、その最終審議での議員のスピーチが世界的な反響を呼んだ。
2018年には女性首相が首相就任中に出産、6週間の産休を取ったことも話題になった。
2020年に初の女性外務大臣に就任したのはマオリ人で、顔に伝統的なタトゥーが彫られており、その時の副首相も女性で同性愛者。
2022年には女性議員数が男性議員数を上回った。
ジェンダーギャップ指数は北欧諸国が世界のトップを占める中で、ニュージーランドは世界4位にランクインしている。
日本のジェンダーギャップ指数は世界125位。
女性議員の割合は15%で世界133位。
女性管理職率は14%で世界167位。
女性の社会進出が進めば必然的に出生率が低下すると推測できるが、日本は女性の社会進出度が著しく低いにもかかわらず出生率も著しく低い(世界197位)という不思議な国である。
人口500万人。
ヨーロッパ系70%、マオリ人16%、アジア系15%、太平洋島嶼国系8%。
どの統計で調べても合計が100%を超えているのは複数を回答する人がいるためだろう。
公用語は英語、マオリ語、手話。
酪農大国。
人口500万人に対して、ウシ1000万頭、ヒツジ2600万頭。
1980年代には7000万頭いたヒツジは都市化や産業スタイルの変化で年々減少している。
家畜のげっぷやおならが発するメタンガスによる温室効果が近年のカーボンニュートラルの風潮でも取り沙汰されており、政府は世界初の「げっぷ税」の導入を検討している。
例によって、ファームの国では土地はすべて私有地となっており、えんえんフェンス。
こんなに広大な土地でも、テントを張るスキはあまりなさそう。
さすがに、イヌに追われることはない。
吠えられることは多いが、さすがに敷地外に飛び出してくるバカイヌはこの国にはいない。
高速に乗れればスッと進めるのだが、ローカルロードでわけのわからないところへ連れて行かれる。
これじゃ全然進まんな。
マジかよ、この角度は上がれないぞ。
荷物を外して小分けにして登っていたら、今までまったく人は通らなかったのに突然バギーに乗った太っちょのおじさんがやって来た。
「ここは私道だ」
えぇ、、、
せっかくここまで来たのに、戻らされるとは。
しかしマップを見る限り、この道がダメなら高速に乗らざるをえない。
こういうきちんとした国では違反したらすぐに捕まってガッツリ罰金を取られそうで嫌なのだが、一か八か高速強行するしかない。
と突入してみたら、自転車OKじゃねえか。
なんだよー。
Google Mapsのルートに素直に従ったのが災いした。
アップダウンも少なく、スイスイ進めて快適。
高速走行で危険なのは、分岐と合流。
ここではご丁寧に「自転車は気をつけて横断してね」というサインがある。
ずいぶんとやさしい。
でも言われなくても十分気をつけてる、気をつけてほしいのはドライバーの方。
地名はマオリの言葉で残っており、発音がさっぱりわからん。
オークランドでは若者が圧倒的に多く高齢者が少ないという印象だった。
都市圏を出ると、違う。
たとえばスーパーの買い物客は半分ぐらいが高齢者、平日の昼間だからというのもあるだろうが。
移民も少なく、白人が多い。
セルフレジはなく、有人レジのみ。
レジ袋は存在しない。
僕は中米旅行中にレジ袋を大量にストックしておいたので、キャンプ中のゴミ袋にはしばらくは困らない。
日本を含む東アジアの国々の惨状とは比較にならないが、ニュージーランドも出生率が年々低下し、高齢化社会となっている。
タイミングのズレはあっても、少子高齢化というやつはどんな優秀な国でもいずれは直面する不可避なテーマのような気がする。
まともなキャンプ場。
NZ15$(1300円)。
必要なものはすべてそろっている。
昨日のキャンプ場はただのボッタクリだったか。
サービスが悪いところほど高い。
立派なキッチン。
旅行者のキャンパーは僕だけで、他にキャンピングカーやキャビンに居住している人が多数いる。
オークランドの宿とは違い、ここにいるのは移民ではなく生粋のニュージーランダーたち。
マオリの人からも話しかけられた。
夜はピクニックテーブルに集まってにぎわっていたが、スマホを鳴らす輩はいないし大声で長電話する輩もいない。
第一印象で、ニュージーランドの英語はわかりやすいと書いたが、それは都市部だけのようだ。
ここの人たちの英語はかなり特徴があり、わかりやすいとは言えず、耳が慣れるまで時間がかかりそうだ。
でも皆さんフレンドリーにあいさつしてくれて、礼儀正しく、気持ちに余裕のある人たちという印象は変わらない。
オーストラリアでよく見たブラックスワン。
星空。
南十字星、天の川。
南半球はそれほど久しぶりというわけでもないけど、これを見るとやっぱいいなあ。
またキャンプ場。
レセプションは無人。
オンラインで支払い、タッチパネルでチェックインし、レシートが発行されるとそこにWi-Fiパスワードなどが記載されている。
人件費削減や人手不足問題を考えたらこういう機械化は大いに結構なのだが、客がネット接続できない状況だと何もできない。
北欧のキャンプ場なんかも無人のところが多く、窓口に電話番号だけが書かれており、当時はSIMを買ってなかったのでせっかくキャンプ場があっても利用できないことがあった。
Wi-Fiパスワードをその辺に書いといて、電話ではなくチャットで対応してくれたら申し分ない。
ここも、テントサイトは僕だけ。
他の客はキャンピングカーやキャビンに居住しており、きれいなこのキッチンも僕以外誰も使わず、冷蔵庫も空洞。
アラスカやカナダのキャンプ場と同じく、セキュリティはないも同然。
どこかに防犯カメラがあるのかどうかわからないが、部外者でも簡単に敷地内に侵入して僕のテント内の物を奪えそうだ。
でもその可能性は非常に低いことは空気でわかる。
雨のため連泊。
降るのは当たり前でいちいち足止めされてたら進まないのだが、丸一日雨の予報だとさすがに戦意喪失。
それに、しばらくこの冷気を心地良く味わっていたいし、急ぐ理由もない。
トレーラーで子供を運びながら仕事するキャンプ場のスタッフ。
育児は必ずしも家でするものと決まってるわけではなく、職場に持ち込んだっていい。
道路もなかなか乾かない。
National Park, New Zealand
21041km (Total 157735km)