大阪生活
鹿児島からフェリーで大阪へ。
これから大阪で生活する。
「なんで?」と理由や動機を聞かれるのは僕は苦手である。
おもしろそうだからに決まってるでしょう。
住居や仕事を探しまわるのに、自転車と荷物がどうしても足かせになる。
以前仕事でお世話になった人を頼り、その方の会社の倉庫に置かせてもらった。
しかし、住居も仕事もうまいこと見つからない。
これほどの大都市だからすぐに決まるだろうと思いきや、こういうこともある。
結局、その方(ちなみに社長)の会社で、暫定的ではあるが仕事をさせてもらうこととなり、住居まで紹介してもらった。
即入居できるわけではないので、それまでは会社の倉庫で寝泊まりさせてもらった。
いきなり転がり込んできて無茶なお願いをしたにもかかわらず、快く受け入れてくださり、焼き肉までごちそうになったりして、なんともかたじけない。
新居。
完全プライベートの住居に住むのはいつ以来だろう。
ここ10年以上、日本での生活はシェアハウスと決まっていた。
シェアハウスのメリットは、
・保証人不要や審査不要の物件が多い
・光熱費とネットも固定費で含まれている
・家具や家電がそろっており引越の手間なくいきなり住める
・日用消耗品も管理者が補充してくれる
表面的な家賃の比較だけだったら、安いアパートも多々あるだろう。
しかしアパートやマンションだと、光熱費とネットで数万円加算され、家具家電、引越費用、さらに敷金礼金等、どうせ短期間で引き払う僕としてはムダな出費が多すぎてやってられない。
シェアハウスの家賃を聞かれて答えると、「高い」というリアクションをされることが多いが、トータルで見たらどちらが高くつくかは言うまでもない。
しかし、今回は違う。
紹介してもらったこの新居は、すべてトータルでひっくるめても、そこらのシェアハウスより安い。
家賃は事故物件並み、光熱費は完全ではないが固定額、洗濯機は共用部にあるものを無料で使用可、敷礼ゼロ、初期費用の一部である事務手数料も会社の信頼で無料となった。
家具家電は、会社の倉庫にある物を貸していただいた。
会社のトラックを借りて家具を運び込んで、瞬時に引越完了。
何から何まで面倒を見てもらって、僕には上等すぎるほどの住環境。
自転車は崩壊寸前。
駆動系パーツ総交換しなければならない。
しかし今は生活の立て直しが先決、こいつはしばらく寝かせる。
特にひどいのがBB(ボトムブラケット)。
終盤は、力をこめずにそ~っとこいでいた。
生活に必要なもの、それはギター。
ストラト狂の友人から送られてきた。
アサジ仕様にカスタムメイドしてくれた、決定的な一本。
ボディとネックはもちろん、金属パーツ、ピックアップ、電気系統まで、文字通りすべてのパーツをその友人がオーダーして組んでくれた。
セッティングや全体のバランスも絶妙に計算され尽くされ、異常に弾きやすい。
長いつきあいなので、僕のクセや趣向を誰よりも知ってくれている。
金をいくら積んだところでどこの店にも置いていない、僕のためのストラト。
こんなの自力じゃ到底つくれない。
ボディはアルダーでシンラッカー。
ブリッジはエリック・ジョンソンモデル。
ネックは、太さやカーブを指定したオーダー品。
指板はマダガスカル・ローズウッド。
フレットは彼が打ってくれた。
超絶神経質な彼らしく、パーフェクトな仕上がり。
ネック裏は、塗装なしのサラサラ。
リフトソーン(追柾目)。
ナットは、牛骨を彫ってつくってくれた。
弦をはめる溝の微妙な彫り加減で、音の鳴りやサステインが激変するらしい。
音作りはギタリストにとって永遠のテーマだが、まさかナットの溝が鍵となるなんて、思ってもみなかった。
実際、このストラトは生音でも異様にのびる。
このナットの下にはコピー用紙をカットしたものが1枚はさみ込まれており、それによってナット側の弦高を0.1mmほど上げてくれている。
ナットがもうひとつ、ケースに入っていた。
溝の彫り加減が異なるもので、これを替えることで音を変えられるようにしてくれた。
アンプの入手はだいぶ先になりそう。
生活の立て直しが先決。
しばらくは音出せないけど、握っていじってるだけでも心和らぐ。
大阪府大阪市