マウントクック (New Zealand)

マウントクック国立公園へ向かう前に、トゥワイゼルという街のキャンプ場でひとまず落ち着く。

NZ$21(1823円)。

必要なものはそろっており、サービスに制限もかかっていないのだが、Wi-Fiが極貧国レベル。
初日の夜はほぼ何もできないぐらい使い物にならなかった。
欠点を見つけるのが難しい優良国家ニュージーランドだが、ネット環境は10年ぐらい遅れをとっているような印象。

ちなみにSIMはたった3GBでNZ$30(2606円)という超ボッタクリ価格。
Wi-Fiが不調の時にSIMに切り替えたり、Wi-Fiなしのキャンプ場だったりすると、3GBなんてあっという間。

この界隈はニュージーランド観光のハイライトで、近頃はキャンプ場も混み合う。
サイトは空いているが、夕飯時のキッチンが混む。
キャンプ場も、客の半分ぐらいが中国人。
中国人だからどうだと言うつもりはないが、かれらは必ずグループで行動し、そして自炊率が高い、しかもけっこう本格的につくるため、キッチンでかち合うとまあまあ厄介。
ゆっくり落ち着いて食事したいのでなるべく早く、16時には夕飯の支度を始める。
それでも、朝も晩もどっかしらでかれらと時間帯がかぶってしまう、調理に長時間かけすぎなんだよな。
もう少し成熟したら、集団ではなくもっと個人単位で旅するようになってくれるかな。

天気が微妙だが、そう長居するわけにもいかず、マウントクックへ。

道中いくつかのビューポイントがあり、休憩していたらマレー人の団体客が声をかけてきた。
マレー人はニコニコと笑顔でフレンドリー、日本人だと答えると「アリガトゴザイマス」と言い、僕がマレー語で「Terima kasih」と言うと喜んでくれる。
ムスリムのオバさまたちがめずらしがって僕の写真を撮る。
自転車で世界中を旅するというのが理解できないようで、すごい質問攻めされた。

しかしまあ、アジア人はグループ、欧米人はカップル、日本人はソロ、というのがよくある典型というか傾向としてある気がする。
僕はカップルやグループ旅行というのが理解できないし、かれらは一人旅というのが理解できないようだ。

プカキ湖の西岸を北上。

ここも自転車用の小道をつくってほしいな。
人気観光地で交通量多く、路肩なし、おちおち風景も楽しめない。
しかも左側通行のため、右側にある湖を見るのにいちいち道路を横断する。

しかし、この色。
車は猛スピードでバンバンすっ飛ばして行くが、僕は立ち止まってゆっくりとこの色に浸る。

向かい風。
ふだん南下中に北風は吹いてくれないくせに、ちょっと北上したとたんに北風が吹きやがる。
山へ向かっているので当然登りだが、風の影響の方がでかい。

これは超絶。

神々しきかな。

この島に人が住みついたのは1000年ほど前、それ以前は無人島だった。
当時は巨鳥モアが闊歩していたことだろう。
生態系は様変わりし、人間によって街がつくられ道がつくられ、悠久の時の流れを見守ってきた山々が何かを語りかけてくるように見える。

神話の中にいるかのよう。

山に近づくほど風は勢いを増し、行く手を阻む。

標高700m、到着。
登り&向かい風、さらに絶景で何度も立ち止まり、この日はたった66kmに9時間もかけた。

マウントクック国立公園は無料。
ただ来るだけなら費用はかからず制限もない。

White Horse Hill Campground。

無人のキャンプ場、NZ$15(1305円)。

要オンライン予約。
電波があるので現地到着後でも予約と支払い可。

水道あり。
水洗トイレ、トイレットペーパーあり。
シャワーなし。
電源なし。
Wi-Fiなし。

キッチンはあるがコンロなし。
唯一ここが風雨をしのげる場。

いつも通り、キャンプ客の半分ぐらいが中国人、テントを張っているのは僕だけ。
ウサギがたくさんいて、草地はウサギのフンだらけ。

翌朝。

トレッキングへ。

すさまじい強風。
体感温度だと-5℃ぐらいか。

出発してまもなく、なんと橋封鎖。

これがメインだったのに、残念。
もうひとつある、短いトレッキングコースへ。

太陽は出て来てくれたが、主役のマウントクックはまったく見えず。

この後、雪。
強風とともに、細かい雪粒が顔にバシバシと打ち付ける。

結局、一日中暴風と雪で荒れた。
テントに閉じこもり、やることもなくさすがにヒマだった。
暴風は夜が明けるまで続いた。
雪は細かく風で吹き飛び、長時間降り続けても1ミリも積もらない。

翌朝。
依然として強風だが、スッキリ晴れ上がった。
背後にこんなのがそびえていたなんて。

さっそくトレッキング。

おお、見える。

ニュージーランド最高峰、クック山(3724m)。

言うまでもなく、ニュージーランド開拓の祖であるイギリス人探検家ジェームズ・クックにちなんでいる。
マオリ語では「アオラキ」と呼ばれ、「雲の峰」の意。

トゥワイゼルまで、来た道を戻る。
来た時は雲で隠れてしまっていた山々。
以下の写真はほぼ、後ろを振り返って撮ったもの。

いやー、こりゃすげえ。

天気が悪いからといってすぐ諦めて帰らず、粘ってみてよかった。

追い風&下りで楽チン。

行きの道も、晴れていればマウントクックがずっと見えていたようだ。
ただ、一番奥まったところにあるので一番小さく見えてしまう。

角が生えているかのような二峰が特徴的。

北にあるので、基本逆光。
今さら言うまでもないが念のため、南半球では太陽は北に昇る。



何度も何度も、後ろを振り返って立ち止まる。

再びプカキ湖。






向こうにうっすらと見える山のふもとにテカポ湖がある。



ニュージーランド走行のメインディッシュ、こんないい天気だったらもう一往復してやろうかと思えるほどだった。


Twizel, New Zealand

22413km (Total 159107km)



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