ボゴタ 1 (Colombia)
南米随一の自転車大国、コロンビア。
首都中心からのびる幹線道路の1.3kmにわたって、無数の自転車屋が軒を連ねる。
1本の道路に集中する自転車屋の数としては、過去一番かもしれない。
完成車もパーツ類も、品ぞろえ豊富。
しかし、一口に自転車といっても各方面多岐にわたるものだが、これだけ店があってもほぼ街乗り用MTBの一辺倒で、ロードバイクは少しばかり、ツーリングというコンセプトのものはほとんどない。
ここボゴタで、タイヤを買いたい。
クスコで買ったタイヤは、ボツ。
あまりにパンクしすぎ。
空港から宿までのわずか15kmでもまたパンクした。
そしてゴツゴツしすぎで摩擦が大きい。
それから1ヶ所大きな裂け目ができて内部のパンク防止テープが露出しており、テープがなかったらチューブが露出してバーストしてたかもしれない。
クスコからわずか2000km、いかにシュワルベが有能かを改めて痛感。
ショッピングモールや大型スーパーなどをのぞくほとんどの店では、入るとすぐさま店員が話しかけてきて、「見てるだけ」と言ってもしばらくマークされ、ずっと監視され続ける。
犯罪率の高い国ではこれがふつうだが、ゆっくり落ち着いて見たいんだよな。
しかも商品はショーケースの中だったり客の手の届かないところに展示してあったりして、手にとって見ることはできないし、値段もいちいち店員に聞かなければならない。
タイヤはやはりゴツゴツ系ばかり、しかし根気良く店をまわって、なんとか自分の条件に見合うものを発見。
それから、ディスクブレーキのパッド問題。
日本で今の自転車を買った時、僕はディスクブレーキの知識がほとんどなかったので店員さんのチョイスにおまかせしてしまった。
パッドの形状も多種多様で、できれば世界中どこでも入手できる最もありきたりな形状のものにしてほしかったのだが、よりによって最も入手しにくいレアな形状だったということが、日本を出てから発覚。
各地で自転車屋に入るたびにそれとなくパッドもチェックしていたのだが、合致する形状のものは一度も見てない。
日本で買っておいた予備パッドの蓄えがまだあるが、それが尽きたら本体ごと買い替えることになるかもしれない。
でもそのレアなパッドも、タイヤを発見したのと同じ店で発見。
以前もどこかで書いたが、いろいろな物が同じタイミングで壊れたりダメになったりするシンクロニシティ現象がよくある。
今がそうで、タイヤだけでなく衣類やらキャンプ用品やらその他小物類などが次々に寿命をむかえ、一斉に買い替え。
そんな時になんともありがたい、ボゴタにはデカトロンがある。
デカトロンはフランスの大手スポーツ用品店で、ヨーロッパの広範囲でチェーン展開しており、ヨーロッパ以外でも時々見かける。
アウトドア用品、自転車用品、衣類、など豊富な品ぞろえ。
有名ブランドの高価な品ではなく、独自ブランドの安価な品で、クオリティも良い。
デザインもシンプルで僕好み、ダークカラーの落ち着いた見栄えの物が多い。
テント、クッカー、Tシャツ、短パン、などデカトロン1軒でいい買い物ができた。
そしてここでは入口にガードマンが立ってるだけで、話しかけられることも監視されることもなく、ゆっくり品を吟味できた。
同じショッピングモール内にあるJuan Valdezでコーヒー休憩。
コーヒー7300ペソ(210円)、チョコチップクッキー5500ペソ(158円)。
紙コップだけどクソうまい。
スーパーでインスタントも買ってみた。
ここで初めて、Uberというものを利用した。
日本でウーバーといえばイーツだが、他国でウーバーといったらタクシー配車サービス。
アプリで目的地をポンッと押して、条件を見て確定させたら支払いもすまされ、数分待てば車がやって来る。
バックパッカーたちはだいぶ前から当たり前のように利用していることだろうが、公共の乗り物嫌いな僕としては、よほどの事情がない限り自転車か徒歩で移動してきた。
今までの旅でタクシーは数回利用したことがあるが、その数少ない経験だけでも悪人、詐欺、ぼったくりドライバーとのトラブルがあった。
ウーバーはオンライン決済なのでドライバーに直接支払うことはないし、ユーザーはドライバーを評価できるのでドライバーとしてもヘタな対応をしたら低評価になって仕事がなくなる。
宿からデカトロンまで10km、雨。
晴れてたとしても劣悪な道路環境。
というわけで、ドキドキしながらUberデビュー。
12240ペソ(361円)、安い。
ドライバーはテンション高めの人で、楽しく会話できた。
同い年でびっくり。
こういう出会いもいかにも一期一会、悪くないな。
正規のタクシー会社ではなく、日本のウーバーイーツ配達員のようなフリーの人。
帰りも同様にアプリで呼び出し、数分で車が来てくれた。
これはいい、便利だし安心安全。
来たる自動運転の時代に備えて、日本もこういったシステムを下地としてなじませておいた方がいい。
自動運転の時代とは、ウーバーのこのシステムが有人タクシーから無人のAIタクシーにすり替わるもので、そうなるとバスや電車などローカルな交通機関は淘汰され、個人が車を所有する必要もなくなる。
日本にウーバーが導入されないのは、タクシー業界から猛反発があったからだとか?
いかにも滅びゆく国がやりそうな愚行。
先日、イタリアがChatGPTを一時禁止した。
日本がそうしないのは単に政治家が老人だらけで事態をつかんでいないだけで、もし他国にも法規制が広がったら日本もそれに便乗、という追従スタイルになるのか。
いずれにしても技術革新とうまく付き合っていくことを拒絶して法で規制したところで衰退の道しかない、ChatGPTに替わるAIを自国で開発できるというのなら話は別だが。
日本のような高齢化社会こそ、大々的にAIを導入すべきだと思う。
高齢者ドライバーが起こす交通事故のニュースを見るたびに一刻も早く自動運転が実現されるべきと切に思うし、古より続くアナログ業務全般も即刻廃止してAIにまかせてしまえば国全体の血行がスッキリするだろう。
政治家も駆逐され、政治もAIまかせにするという成田悠輔のアイディア(22世紀の民主主義)を僕は全面的に支持したい。
どこの国でも、タイミングのズレこそあれ豊かになれば高齢化してゆく、そういう意味では日本はその先陣を切る高齢化先進国。
AIは、高齢化で衰弱した国が起死回生するお手本となる、日本にとって数少ないチャンスのひとつだと思うんだけどな。
ここで「人間の仕事が奪われる」だとか「雇用を守れ」などと言う人は目先の利害しか見えてない、国を衰退させているのはまさにこういった近眼的思考。
その後、宿から3kmほどのショッピングモールにもデカトロンがあることが判明。
3kmだったら余裕で徒歩圏内、やっぱウーバー必要なかったか。
デカトロンで買ったテント、216000ペソ(6246円)。
テントも、買って開けてみないことにはわからない部分が大きくて博打になりがちだが、見本が展示されてたので安心して買えた。
クッカー、109000ペソ(3152円)。
今まで使ってたクッカーはいつ買ったものなのかも思い出せないが、底がボッコリ盛り上がってきてまったく安定しなくなったので、引退。
宿でタイヤ交換。
CSTの26×1.90、40000ペソ(1158円)×2本。
安すぎて不安にさせられるが(今時マックのセットでもこれぐらいするぞ)、タイヤも乗ってみないことにはわからない博打。
かなり硬い素材で、リムにはめ込むのに一苦労。
でも今のところ感触としては悪くなさそうだ。
「TRAVELLER」と書いてあるから一応ツーリング向けなのかな。
Prisma Hostel。
ドミトリー22880ペソ(671円)。
カード払いだと+6%。
一見よくありがちな都市部のホステルだが、あまり心地良くない。
僕はクレームをつけたりしないが、クレームポイントがいくつもある。
逆にスタッフの方が客に対して意味不明な注文や文句を言ってきたりする。
警戒心過剰な店と同様、宿も客へのサービスより自分たちの保身を優先してるように見える。
どういうわけか知らないが、ネコというのはラップトップを開くとやって来てパソコン作業を妨害する習性がある。
Bogotá, Colombia.