バルディビア→プエルトモント (Chile)
この辺りから、定義上パタゴニアと呼ばれる地域に突入していく。
パタゴニアとは、南米大陸の南緯40度以南のエリアの総称で、マゼランによって命名された。
国でいうと、アルゼンチン南部とチリ南部。
面積は両国の4分の1~3分の1を占めるが、人口は3~4%ほどの希薄地帯。
北半球で例えるなら、北朝鮮から北の地域ぐらいのイメージ。
ここまで来てようやく川もきれいに。
10月3日より、店内等でのマスク着用義務が解除された。
それまではマスクをしてないと店内に入れてもらえなかったが、今はざっと見たところ、スーパーの買い物客の1割ほどがまだ着用しているが、9割方はノーマスク。
周辺国に比べてチリの脱マスクがこれほど長引いた理由はよくわからないが、きっちりと区切りをつけて、せいせい晴れやかに生きていける。
日本は少しは変わっただろうか。
そもそも日本は、法令によってではなく国民の自主性によってマスク化を遂げた世界で唯一の国かもしれない。
ゆえに、終わりが見えない。
一定数の人が好きで自主的にマスク着用を継続すると、そうでない人は脱マスクしたくてもできない。
和を乱すことが許されないムラ社会が文化の根底にあるから。
仮にすべての人がもうマスクは不要だと考えるようになったとしても、他者に対する過剰な気遣いから、はずせない。
プライベートならともかく仕事においては、さらに過剰で病的な使命感がマスク着用を強要してくるため、拒もうものなら仕事させてもらえなくなる。
本来他人に迷惑をかけないためのマスクが、今やそれ自体が迷惑な代物となっている。
僕は帰国できるだろうか、考えたくない。
天気崩れた。
美しいオソルノ山を眺めながら走るルートなのだが、あいにくの曇天。
しかし変わりやすい天気で、ひとときの晴れ間にその姿を見せてくれた。
オソルノ山(2660m)。
地震国チリ、活火山が数多くある。
標高はそこまで高くはないが、山は高けりゃすげえってわけでもない。
独立峰ならではの存在感。
成層火山ならではの均整のとれた円錐形。
宿は、一応調べてはいるが、しょうもないボロ宿でも最低5000円以上、とても泊まれない。
1万円以上の宿とかチリ人だって泊まらないだろう、相応のクオリティが伴っているならまだしも、誰が泊まるんだ。
しかしキャンプ場がけっこうある。
あまり期待はせずに、何軒かあたってみたが、全滅。
どこも閉業。
冬季だから?
冬っていってもたいした冬じゃないんだし、もうぼちぼち春だし、キャンプぐらいさせておくれよ。
どこか適当にテントを張るか、といっても相変わらずフェンスが張りめぐらされている。
オソルノ山ふもとの湖の周囲にもフェンスがあり、立ち入れないようになっている。
湖畔なんて皆で共有すべきもの、開放してくれたっていいのに。
まったく、やりづらい国だな。
なんとかして、ギリ張れる場所を見つけて強引にキャンプ。
翌日、雨。
雨天走行は本当に嫌なもの。
次々に現れるキャンプ場を伺ってみるが、欧米のキャンプ場のような立派なものではなく、どこもボロく荒んでいる。
ようやく1軒、営業中のキャンプ場にありつけた。
それもたまたま偶然キャンプ場の人と出くわしたから泊まれたが、ちょっとでもタイミングがずれていたら無人のため泊まれなかっただろう。
5000ペソ(774円)。
チリで初めて、相応の値段の宿泊料金。
そして何気に、今回の旅で初めてのキャンプ場泊。
他に客はいないので、屋根の下で広々と陣取らせてもらう。
電源あり。
延長コードでテント内に引き込む。
これでWi-Fiありだったら100点なんだけど。
SIMでネット接続できるが、節約してるつもりでもどんどんデータを消費してしまう。
電源があれば、テント内でも電気コンロで調理できる。
お伝えしてなかったかもしれないが、日本から持参した電気コンロは、ブラジルで早々にぶっ壊れた。
原因は電圧。
日本の電気製品は100V、海外では200V以上の国が多い。
ブラジルは100Vと200Vの2種類のコンセントがあり、ある時確認を怠って200Vで電気コンロを使ったらショートしてしまった。
スマホ等の電子機器は、充電器(USBケーブルを挿して電源とコネクトするやつ)が100~240Vまで対応しているので、海外でも問題なく使える。
その後パラグアイで、1000円ぐらいの電気コンロを購入。
やや大型でバッグに収納しづらく、ちゃちなつくりだが、こんなに便利な物はない。
キッチンのない宿ではいつもこれで調理しており、節約に大いに役立っている。
小さな湖畔の街で大型スーパーはなく、個人経営のミニスーパーで食料やスイーツを買う。
ホットシャワーは期待していなかったが、ちゃんとお湯が出たので驚いた。
翌日。
すっきりとは晴れないが、なんとか雨は降らなさそうだ。
アルパカ。
一連のアンデス原産のラクダ科だが、グアナコやビクーニャなどの野生種とは違い、アルパカとリャマは家畜。
なんかこっち寄ってきた。
やはり変わりやすい天気。
ひとときの晴れ間のオソルノ山。
湖畔を歩けたら気持ちいいだろうに、フェンスで阻まれている。
Puerto Montt, Chile