プエルトモント 1 (Chile)
バルディビアのWSホストが、プエルトモントに友人がいるとのことで紹介してくれた。
街の中心からは離れた郊外にその人の家がある。
この街で、ディスクを交換しなければならない。
触ると段差がわかるほど削れてしまっている。
自然な摩耗ではない。
パッドとの相性が悪かったのか、今回の旅を始めてからずっと、なんだかアタリが良くなかった。
峠を下ってる時なんかは尋常じゃないぐらいのノイズを発することもあった。
何度も調整を試みて、ノイズはなんとか軽減できても、根本的になにかおかしいという感じがずっとあった。
今回のホストのホセは、自転車のフレームビルダー。
オリジナルバイクを製作して販売しているプロ。
彼に相談して、ディスクを入手できる店はないかと聞いてみたら、なんとウチにあるよと言う。
奇跡!
もちろん支払いはさせてもらって、ここで交換。
パッドも限界まで摩耗しており、日本から持参したスペアと交換。
めちゃくちゃ手際がいい。
おお!!
かっちょえー!!
翌日にでもゆっくり時間をかけて自分でやるつもりだったのだが、ホセは僕がこの家に到着してからものの30分もしないうちに、前後のディスク交換からパッド交換から微調整、おまけにシフトチェンジの微調整まで、流れるようにスムーズにあっけなく終わらせてしまった。
しかも、僕はいつもブレーキをバラす時はキャリアとスタンドが邪魔になるので取り外すのだが、彼は、かなりやりづらいはずなのだが装着したままの状態で難なくこなしていた。
器用な人っているもんだな。
プロはプロでもいろんなプロを見てきたけど、相当な達人とお見受けした。
僕は手も口も出せず、ただ「はえ~」と感心するばかりだった。
ホセの自作バイク。
彼がつくるハンドルがすごく握りやすくて、僕もオーダーしたいぐらいだ。
フロントフォークに装着されている大型ボトルケージも自作品。
何でも自作してしまう人。
テーブルや椅子も自作。
15歳の息子とふたりでここで暮らしている。
半年前まではサンティアゴにいたが、都市生活が嫌になってプエルトモントに引越してきたという。
仕事はここでも問題なくこなせるし、大都市に住む必要はない。
とても共感できる。
食事もつくってくれる。
時間はふつうの夕飯時に。
皆が皆、深夜にメシ食うわけではないんだな。
野菜盛りだくさん。
塩を入れているこの容器も、シマノのハブだったりする。
小さい方のイヌ(♂)は僕を怖がっていつまでも懐かない。
黒い大きなイヌ(♀)は甘え上手で、いつも僕に寄り添い、僕の股間の上に顔を乗せる。
そして僕のベッドで爆睡する。
悪天候を口実に、しばしホセの家で厄介になる。
雨の合い間に自転車でメルカドへ。
ここはツーリスティックなメルカドで、観光客への客寄せ感が強い。
レストランへと誘いこもうとするオバちゃんがしきりにつきまとってくる。
強めに誘われると余計に財布のヒモを引き締めてしまうよ。
ここにもいた。
のん気だなー。
ここプエルトモントは海。
ブエノスアイレスで最後に大西洋を見てから南米大陸を横断し、太平洋までやって来た。
今はどこもかしこも、外国人観光客は少ない。
しかし、ストリートミュージシャンが突然日本語で話しかけてきたので驚いた。
たとえハイシーズンでにぎわっていたとしても、日本人はここにはそう多くは来ないだろうに。
一通りのあいさつを日本語でした後、なんと「上を向いて歩こう」を演奏してくれた。
郷愁。
地球の裏側のこんな風景にも自然になじむ曲。
Contao, Chile
8398km (Total 145088km)