ブエノスアイレス 1 (Argentina)
首都ブエノスアイレス。
Buenos=良い
Aires=空気
南米最大の都市はサンパウロに抜かれはしたが、ブラジルの都市にはない「華」がここにはある。
街の観光はいつも控えめな僕だが、ここに来た瞬間からワクワクさせられるものがあった。
腐ってもブエノスアイレス。
かつて南米随一の栄華を誇った大都市のエネルギー、今も感じさせる。
こんなところで寝てる人、たくましい!
南北に長く伸びる歩行者天国の通りでは、両替屋たちがしきりに「カンビオ! カンビオ!」と上野のアメ横のごとくダミ声を上げている。
cambio=両替
Western Unionで両替するのが安全で確実なのだが混んでたので、試しにここで立ってる人と両替してみることにした。
現在の闇レートはUS$1=290ペソ。
アルゼンチン入国直後が最安で310ペソ、その後は290ペソ付近で大きな変動はない。
立ってる人がその場で両替してくれるわけではなく、少し歩いて怪しげな雑居ビルに連れて行かれる。
雑居ビルの一室に、無許可でやっているであろう両替事務所がある。
そこで300ドル→87000ペソに交換。
偽札もなく、額も正確、問題なし。
札束をリュックに入れ、ビルを出る。
少し歩き、不意に振り返って来た道を戻る。
すると、さっきの両替屋と鉢合わせ。
一瞬目が合うと彼はバツの悪そうな表情をしてすぐに目をそらし、足早に去って行った。
彼は僕がリュックに札束を入れているのを知っているし、ドルをどこにしまってるのかも知っている。
確実におさらばしとかないと、後をつけられたりしたら困るんだよな。
ここから宿までは徒歩数分。
ずっと背後を意識しながら、寄り道せず宿へ戻って現金を安全な場所にしまった。
この先、どこの街にもたいていWestern Unionがあるので、リスクをとってまでここで両替する必要はなかったのだが、ちょっと好奇心もあり、どんなもんか試してみた。
さすがパリをモデルにしているだけあって、「魅せる」街づくり。
パリ行ったことないけど。
こういうヨーロッパの街並みが好みというわけではないのだが、数百年前の財と技術のすべてを投じた集大成、というものに旅情をそそられる。
本屋さんも魅せる。
CDも売ってる。
グレン・グールドのアルバムが飾られているのを見ただけでグッときてしまう。
残念ながら、本もCDも死ぬ間際の媒体。
この美しい店もしばらくはアンティーク的に残るのだろうけど、そう遠くない未来に完全に消滅して、別の用途に使われることになるのだろう。
Buenos Aires, Argentina
5478km (Total 142172km)