アカバ (Jordan)
ヨルダン唯一の港湾都市、アカバ。
砂漠と死海の国ヨルダンだが、ギリ内陸国ではない。
紅海の一部であるここアカバ湾で、わずか30kmほどの海岸線で海と接している。
ここアカバ湾の最奥部では、エジプト、イスラエル、ヨルダン、サウジアラビア、の4ヶ国の国境がひしめき合っている。
10月19日、イエメンの反政府組織フーシがイスラエルに向けて巡航ミサイル3発とドローンを飛ばしたが、米軍駆逐艦によって紅海上で撃墜された。
フーシもそのバックにはイランがついている。
11年前はエジプトのヌエバからここまでフェリーで来た。
ここからヨルダン、イスラエル、エジプト、の三国が見渡せる。
西方にイスラエル。
南西にエジプト。
南方にサウジアラビアがあるが、ここからは見えない。
Al Amer Hostel。
ドミトリー7ディナール(1477円)。
アラブ圏ではかなりめずらしい、男女ミックス部屋。
エアコン24時間つけっぱなし。
フリーティー。
宿に中国人女性がやって来た。
イスラム系を数ヶ国、ソロで旅している。
つい先日までニュージーランドで見てきた大量の中国人が常に複数で行動していたのを思うと、見上げたものだ。
彼女は僕に、スーパーへ行くのに付き添ってほしいと言ってきた。
パキスタンを旅した時も、トルコ人の女性旅行者から同じようなことを頼まれたのを思い出した。
イスラムテイスト強めの国では、若い女性は付き添いなしで出歩くものではない。
ヨルダンは個人商店は無数にあるものの、いわゆるスーパーは非常に少なく、しかも宿から少し離れている。
そんなわけで、宿から1.3kmのスーパーまで同伴。
道中、たむろってる若者たちが彼女を見て騒ぎ立てる。
アカバもそこそこツーリスティックで外国人はめずらしくないが、ほぼ欧米人だしその多くは夫婦や家族で行動している。
アジア人の彼女は異彩を放っており、現地の野獣どもを刺激するようだ。
僕が同伴していてもこれだから、たしかにひとりで歩かせるわけにはいかない。
前々から、イスラム圏における女性旅行者のひどい体験談は耳にしてきた。
同じ国でも男旅と女旅とでは、まるで異なる体験をしている。
ビーチで夕日が見たいというので、同伴。
ふだん男ひとりで歩いているだけでもまあまあ視線を感じるが、比較にならない。
変な輩が近づいてこないよう、全方位に神経を尖らせる。
気分はSP。
画像の右前方がイスラエル、左前方がエジプト。
夜の光量はそのままGDPに比例するという説がある。
現在世界最悪のガザはここから270kmほど北、光といったら爆撃の光ぐらいの闇なのだろう。
モスクに行きたいというので、同伴。
衣装は無料で貸し出してくれる。
僕はTシャツ短パンだったが、そのまま入れた。
モスクは男性用と女性用とで分かれており、たとえ夫婦や家族であったとしても男女別々の場で礼拝する。
僕は完全昼行性人間なので、治安は無関係に夜は出歩かない。
ふだんは日没と同時にスリープ状態になり、なんなら晩飯を食べながら半分ウトウトしている。
でも人との付き合いでこうやって夜の散歩をするのも、悪くない。
帰り道、もう少しで宿というところで人気のない暗がりにさしかかると、3人の男が声を上げながらこちらに近づいてきた。
もし本当に襲いかかってきたら、躊躇なく急所をつぶすぐらいしか勝ち目ないかな、と気持ちの準備。
とりあえず無視して小走りで様子を見ていたら、やがて引っ込んでいった。
服を買いたいというので、同伴。
女性用の服屋でも、店員は男性。
大都市アンマンでは例外も多かったが、基本的には女性は接客するものではない。
スイーツを食べたい、と言い出したのは僕。
ふだんこういう店は恥ずかしくてひとりでは入れないので、ここぞとばかりに女を利用して同伴してもらう。
アラビックテイストのアイスとケーキ、ナイス!
スクールバスに乗った悪ガキどもが、「チャイナ! チャイナ!」と叫んできた。
小中学生でも男女は隔離され、このスクールバスは男のみ。
僕はチャイナ攻撃は慣れているので特に気にしなかったが、なんと彼女がガキどもに向かって怒鳴りだした。
反応してしまうと、ガキどもはおもしろがって調子に乗る。
バスの中からガキどもは中指を突き立て、「ファッキュー! ファッキュー!」
すると彼女も中指を立てて「ファッキュー!」とやり返したので僕は唖然。
「いやいや、ただのガキだから放っときなよ」となだめてなんとかおさめた。
中国人でもチャイナって言われるの嫌なんだな。
てかこの娘は付き添いなしでも大丈夫なんじゃないかなって気がしてきた。
しばし伴にしたが、彼女の行動にはビックリさせられることが多々あり、なんちゃってSPとしてはハラハラさせられた。
長いこと旅して変に慣れてしまった僕は、無意識にトラブルを回避する選択肢をとるような無難な人間になってしまった。
こういう向こう見ずな若き旅人と出会うと、目一杯活力をもらえる。
若干衝撃だったのが、彼女の両親が僕と1コ違い、ほぼ同年代ということだった。
Aqaba, Jordan