ヴァルミュシュタイア(Switzerland)→コルティナ・ダンペッツォ(Italy)
スイス最後の峠。
マイナーロード。
交通量少ない。
自転車道以外のスイスの一般道で、こんなに静かで落ち着けるのは初めてだ。
しかし日が高くなるにつれ、交通量増大。
イタリア入国。
メインロードに合流。
バイクうるせぇー。
多すぎるしうるさすぎる。
いくら趣味嗜好は人それぞれ好き好きとはいっても、ここまで環境を破壊していいものなのか?
音を遮断する森林が少ないせいもあって、かなり遠距離からも聞こえてくる。
本人たちはフルフェイスのヘルメットで耳を塞いでいるから自覚がなさそう。
停車中にエンジンを切らないのはなんでなん?
夏のアルプスは大騒音地帯。
ステルヴィオ峠(2757m)。
なんじゃこりゃ!?
大集結じゃねえか。
これは興冷め。
逃げるようにして通過。
ひとりになれるところへ。
峠の先を見下ろすと、、、
こいつはすげぇ。
大集結するわけだ。
こちら北東側には48のヘアピンカーブ。
南西側と合わせて計82のヘアピンカーブ。
僕はまた別の北側からのアクセスで、それなりにスティープでヘアピンカーブも多かったが、スタート地点が標高1300mほどあったので割とサクッと登れた。
この道路が開通したのは1826年、ちょうど200年前。
当時この地域はオーストリア帝国の支配下にあり、中立国スイスを避けて通る道路が軍事上行政上必要とされ、国境スレスレで建設された。
このヘアピンカーブ自体は、当時の設計そのままだという。
ちょっと長めの車だと一度で曲がりきれず、何度か切り返す。
そこへ大量の自転車とバイク。
大混雑。
壮観。
標高は高くなくとも、これは今まで越えてきた峠の中でもえげつない。
下るのも楽ではない。
荷物を積んでいると制動距離が伸び、ブレーキにはそれだけ大きな力が必要。
軽量ロードバイクなんかは車並みのスピードでかっ飛ばしているが、僕はちびちびと低速下降。
そして、ブレーキパッドがもう限界。
思いっ切り握りしめてもズルズルと滑る。
こえぇ。
手が痛い。
下りなのにすごく疲れる。
それでもなんとか、この絶景を楽しむ。
下っても下ってもまだ下へ。
北東から登ってくるサイクリストにとっては長い戦いだろう。
僕も手が痛い。
標高1000mを切った。
スイスでは見られなかった大規模農場。
作物が育つ土地では食文化も育つ。
やはりヨーロッパは川沿いルートを探すべし。
自転車道があるから。
そしてまだしばらくは下り。
気持ちいい。
思ってたほど暑くない。
木陰も多くすがすがしい。
ブレーキパッドがいよいよダメ。
峠でなくともふつうの下り坂でも危険を感じる。
自転車屋に駆け込んだ。
ブレーキパッドぐらい自分で交換したかったが、店でやってもらえた。
六角レンチは持って来ているがプライヤーがないので、自分でやろうとしても結局工具を借りなきゃならない。
シエスタあり。
スペインをはじめとするシエスタとはまた違うが、この店は12〜13時は閉まるようで、タイミングが悪ければ平日でも営業していない。
メラーノ。
イタリア入国してからずっと気になってた、不思議なこと。
イタリア語よりもドイツ語の方がよく聞こえてくるのだ。
標識も伊独の二言語、場合によってはドイツ語のみの表記だったり。
ここ南チロル地方は、古来よりドイツ語話者が住む土地であったが、第一次世界大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が敗戦したことによって国境が変動し、イタリア領となった。
ムッソリーニ政権下で強力なドイツ語廃止イタリア語化が促進されたが、戦後はそれぞれの母語が保護されるようになった。
メラーノでは、ドイツ語50%、イタリア語49%。
イタリアなのにドイツ語の方が多数派。
イタリアはシンプルにイタリアだと思ってたのに、またややこしいんだな。
一本の川に沿って、高速道路、一般道、自転車道、の三本の道路が敷かれている。
トンネルもちゃんと自転車用。
こんなありがたいことはない。
気まぐれに消失したり現れたりを繰り返す自転車道ではない。
どこまでもしっかり続いている。
イタリアの街も泉あり。
ブレッサノーネ。
ドイツ語73%、イタリア語26%。
ここは本当にイタリアなのか。
学校教育では、ドイツ語系の学校とイタリア語系の学校とで分かれており、いずれにしても二言語+英語の三言語必修のようだ。
川から逸れて一般道と合流しても、しっかり隔離、棲み分け。
イタリアの道路がこんなにも優秀で快適だなんて。
見直したよ。
ブルーニコ。
ここはなんとドイツ語82%、イタリア語15%。
キャンプ場の建物もドイツ語表記。
キャンプ場。
テントサイトは密集。
テント同士の距離が近い。
なるべく早い時間に到着しないと、張る場所がなくなる。
キャンプ場のお得意さんは、キャラバンで来るファミリー。
プールがあり、子供の遊び場があり、大にぎわい。
おそらく夏休みの間は長期滞在。
行きずりのテント泊サイクリストたちはあまり利益にならないのか、重宝されず。
テントサイトの環境は良好とは言い難く、木陰なしの直射日光、密集しすぎ、くつろげる場所もない、キッチンもない。
充電する場所は自分でなんとかして探さなければならない。
疲れがたまっても、条件を満たしていないキャンプ場に連泊する気にはなれず、進み続ける。
山や街の風景はスイスとあまり変わりない。
まだスイスにいる感が抜けない。
ドッビアーコという街から南へ、自転車道はしばらく未舗装となる。
登り。
未舗装の山道だというのに、とにかく自転車だらけ。
家族連れ、小学生ぐらいの子供までこの道を自転車で走る。
どこもかしこも行楽地のよう。
これがヨーロッパの夏か。
Cortina d'Ampezzo, Italy
2421km