ボゴタ→メデジン (Colombia)
例によって、都市部を脱出するまではひどい状況だった。
道路の端から端まで車とバイクで埋め尽くされ、耳をつんざくクラクションの嵐。
クラクションバカは論外として、道路や渋滞の改善は一筋縄じゃいかない、まだまだ時間かかるんだろうな。
しかし人の振る舞いを決定づけるのは環境、いったん道路を整備すればマナーも向上するし、経済効果も大きいはずだ。
ようやく喧騒から逃れて山に入っても、交通量多すぎ、トラック多すぎ、排気ガスモクモク。
コロンビアの国土は日本の3倍。
東部はアマゾン、西部から北部にかけてアンデス、北西部のパナマ地峡で北アメリカ大陸と接する。
人口は5088万人。
ブラジルという2億人超えの国があるせいでかすんでしまうが、南米では2位の人口。
メスティソ45%、ヨーロッパ系42%、アフリカ系、先住民、ムラートなど。
主産業は原油、石炭、鉱物。
エメラルドの産出量は世界全体の80%を占める。
コーヒー豆の産出量は世界3位。
ボリビアの国名の由来にもなっている独立の英雄シモン・ボリバルによって建国された大コロンビアが原型となっている。
ボリバルはヨーロッパ列強に対抗すべく強大な中央集権国家をめざしたが、独立派勢力も一枚岩ではなかったため、まもなく分裂してベネズエラやエクアドルは別の国となっていった。
今でもこの3国の国旗のデザインが酷似しているのは、元は同じ国だったからである。
「コロンビア」という国名には、スペインによる支配と決別し、コロンブスの発見した新天地で自分たちの国を築いていくという意志がこめられている。
アメリカやカナダにも、コロンビアの名があちこちで見られる。
ワシントンDCの「C」も「Columbia」の頭文字。
ニューヨークにあるコロンビア大学も、元はイギリス国王にちなんだ名だったが、イギリス支配からの独立の意思表示として改名された。
植民支配からの独立という歴史を歩んだこの大陸ならではのメッセージが、随所に刻まれている。
アウトドアブランドの「Columbia」と、カナダのブリティッシュコロンビア州は、いずれも近くに流れているコロンビア川が名の由来となっており、これは特に独立スピリットをからめているわけではない。
南米のコロンビアと北米のコロンビアは、意味は同じでもスペルが違うので注意。
標高800mまで急降下。
再び熱帯。
キャンプ場。
30000ペソ(898円)。
Wi-Fi以外は必要なものはそろっている。
客は僕ひとり。
ニューテントは、シンプルで使いやすいつくりになっており、気に入った。
床面積210×130cm、高さ102cm、重量2.6kg。
登り。
暑い。
イヌ、再び増加。
うっとうしさでいったらペルーやボリビアの比ではない、取るに足らないレベルだが、数は多い。
そもそも、どうしてそんなにやたらとイヌを飼うもんかね。
農業や牧畜でイヌを使うというのならもちろんわかるけど、そういう土地でもなさそうだ。
標高1700mまで上昇。
ペルーやボリビアのようなフラットな高原地帯はなく、コロンビアやエクアドルでは標高はそこまで高くないものの、険しい。
しんどいのは標高の高さではなく、勾配と暑さ。
標高200mまで下りきった。
ここも、水質の異なる川の境界がくっきり。
37℃。
もー、猛暑。
こんな常夏の土地でも、宿は必ずしもエアコン付きではないようだ。
天井に設置された扇風機があまりにも弱々しくて、いやこれ死ぬだろ、とレセプションに行ってノーマル扇風機を拝借した。
最強にして一晩中まわしたが、それでもなおベタつくような不快感。
これじゃ疲れもとれないな。
Wi-Fiも部屋まで届かず、共用部まで出てネットしなければならなかった。
こんなダメダメな宿にも、テレビだけはある。
テレビを買う金があったら、一晩まっとうにすごすための必須アイテムに金をかけてくれ。
山道が一段落ついて、しばしフラット。
木陰がたくさんあり、路肩も広くきれいに舗装され、快適。
ニュータイヤはパンクせず、走りもスムーズ、今のところ問題なし。
これはアタリかも。
連日晴天。
雨季じゃないんかい。
ここまで暑いと、ちょっと降ってくれてもいいんだけど。
木陰がないと、休憩もできやしない。
道路横断中?
アフリカマイマイじゃね?
破壊的外来種。
マダガスカルでも見た。
なぜここで息絶えた?
再び山道。
人口が多いおかげで、山道でも田舎道でもそこらに店や宿がある。
携帯しているドリンクは、保冷バッグを二重にしてお湯にならないようにしているが、キンキンに冷えたのを飲みたくて、ちょいちょい店に駆け込む。
だいたい500mlで3000ペソ(89円)。
やっぱジュース1本100円以下で買えるぐらいの物価が健全でいいね。
炎天下エリアでごっそり体力を奪われ、木陰エリアで生き返る。
いつもランチはアイスだが、たまにはまともな食事。
相変わらず、揚げ物と炭水化物のオンパレード。
でもこれでドリンク込みで計12000ペソ(369円)は安い。
スーパーではカード払いができるが、宿やその他の店では現金のみ。
QRコード決済もたまに見かける。
街中の宿のほとんどは、レセプションが2階にある。
建物に入るにはまず、狭くて急な階段を登らなければならない。
自転車と荷物を小分けにして運び上げる際、防犯的に最も無防備になる瞬間なので、宿選びも価格よりは構造重視になる。
一番楽チンなモーテルタイプは、ほぼない。
この日の宿は大アタリ。
45000ペソ(1347円)。
まともに効くエアコン、ガンガンに冷やして生き返る。
そして、なんとありがたいことに冷蔵庫付き。
部屋は狭いが、欲しいアイテムが完璧にそろっている、Wi-Fiもバッチシ。
高い金をふんだくっておいて気の利いたサービスが全然なってない宿が多い一方で、安い宿ほどしっかりニーズに応えてくれている。
コロンビア人は、とても人当たりがいい。
めちゃくちゃフレンドリーというわけでもないが、店でも宿でも親切に応対してくれて、笑顔も見せてくれる。
「コンニチハ」、「アリガトウ」と言われることもよくある。
ノリノリなセニョーラから水をいただいた。
ライダーからジュースとスナックを。
ありがとう。
炎天下サイクリングでは、水分はいくらあってもいい。
原付き乗りに、「押してやろうか」と言われることもある。
いや危ないだろ。
皆、日本人だと言うとたいそう驚く。
こんなところで日本人が自転車こいでるなんて誰も思わないらしい。
4.2kmのトンネル。
いつもは恐怖のトンネルだが、今は直射日光から逃れて涼めるので逆に助かる。
十分な道幅と十分な照明、交通量も少なく、しかも下りだった。
その後は、えんえんアップダウンの繰り返し。
Medellín, Colombia
16461km (Total 153155km)