メデジン (Colombia)
標高1500m。
コロンビア第2の都市、メデジン。
メデジンといえば、メデジンカルテル。
コロンビアが国家として壊滅状態だった20世紀後半、パブロ・エスコバル率いるメデジンカルテルがアメリカ向けのコカイン密輸で暗躍し、巨万の富を得た。
世界のコカイン市場の実に8割を牛耳ったパブロ・エスコバルは、コカインの帝王として悪名を馳せた。
世界長者番付にランク入りするほど天文学的な額を欲しいままにし、犯罪者としては史上最大の大富豪。
その莫大な財力に物を言わせて悪業の限りを尽くし、政治家も警察官も裁判官までもが買収され、脅迫に屈しない者や逆らう者は容赦なく抹殺しながら、パブロ・エスコバル自身も出馬して政治家になったりなど、一マフィアが国家に匹敵するほどの巨大な勢力となった。
一時はアメリカ政府からの圧力を牽制するため、自首して自らを収監、その刑務所は当の本人が所有する宮殿のような建物で、看守も全員彼の部下だったとか、そこらのマフィア映画よりも映画のようなエピソードや伝説を多々残している。
数千人を殺害して多くの恨みを買ったパブロ・エスコバルだが、一方で貧困地域に財を投じて住宅、公園、学校、競技場などを建設、貧困層から絶大な支持を得ていたことが世相をより複雑にした。
捜査の手が伸びた時は、多くの一般人が彼をかくまうことに協力的だったそうだ。
1993年、政府の特殊部隊に追い詰められ、銃弾によって死亡。
葬儀には2万5000人以上が参列したという。
その影響力と存在感は一犯罪者の域を逸している。
彼の死とともに、メデジンカルテルも崩壊した。
コロンビアはコーヒー豆の名産地だが、輸出先であるアメリカが価格抑制の圧力をかけてきたことを受けて、農家たちはコーヒー豆を捨て、楽に儲かるコカイン栽培に手を出すようになった。
その後アメリカで社会問題となったコカイン中毒者の蔓延も、結局は自分たちで蒔いた種だと言える。
アメリカという超大国のエゴと、腐敗したコロンビアのどうしようもない貧困がマッチングされたことで、パブロ・エスコバルという怪物が生み出された、まさに時代を象徴した悲劇であった。
それからわずか30年で、よくぞここまで建て直したものだ。
日中最高気温は、だいたい27~28℃。
まだまだ暑いが、いくらかさわやかな風が吹く。
ボゴタよりも過密に見える。
活気がある。
食は相変わらず、フライドチキンとその他小麦粉の塊みたいなものが9割以上。
せっかく物価が安いので外食を楽しみたいところなのだが、あまりの芸のなさに店に入る気も失せる。
ボゴタで食べたカピバラ肉のあの味が忘れられなくて、もう一度味わってみたいのだが、残念ながらなさそうだ。
唯一のお気に入りは、やはりとろけるチーズたっぷりのアレパ。
1個4000ペソ(118円)。
全体の物価と比べるとやや高級品だが、これはたまらん。
マンゴー、小ぶりだがなんと10個で5000ペソ(148円)。
ボゴタほどではないが、ここも自転車屋が集まる通りがある。
にぎやかな通りからちょっと外れると、鼻をつくアンモニア臭、ゴミの山、穴だらけの路面。
ホームレスや物乞いはそこらにいる。
急成長しているとはいえ、まだまだ途上の途上。
ロープ作業の真下に、メイドカフェ。
メイド服のコロンビアーナがお出迎えしてくれるそうだが、ちょっと中をのぞいてみたら、なにやら薄暗い照明で入りづらい雰囲気、やめといた。
帝王パブロ・エスコバルも、悪がはびこったこの修羅の街にまさか萌え萌えキュンなメイドカフェが登場するとは思いもよらなかったろう。
Ayenda 1248 Conquistadoresに滞在。
例によって、建物に入るとすぐに階段。
往来の激しい通りなので、荷物を運び上げる際はいっそう緊張が高まる。
スタッフたちは感じ良い。
フリーコーヒーも実にありがたい。
シングルルーム40000ペソ(1189円)。
予約時はオンラインで振り込み、その場で払うなら現金のみ。
トイレ・シャワー付き。
エアコンなし、扇風機のみ。
程良いボロさ。
ボゴタのホステルでドミトリーにちょっと嫌気がさしてしまったので個室のホテルにしてみたが、市街中心の立地でこの価格なら好条件。
窓が壊れていて、半開きのまま全然動かせない。
スーパーノイジー。
なにやら物売りが拡声器でがなり立て、そのダミ声をかき消すようにクラクションがつんざく、ノイズの祭典。
夜が更けると人気がなくなるので安眠を妨げられることはないが、日中は一切の静寂をあきらめなければならない。
個室なのに、音楽を聴いたり動画を見たりする時はイヤホンを装着。
Medellín, Colombia