網走→釧路

網走の街はずれの宿。

民泊のような感じで、オーナー夫婦の住む家の2階、部屋というよりは屋根裏がドミトリーになっている。
2650円。

最寄りのコンビニまで3km、スーパーまで3.5km。
僕は自転車で行けるが、他の客たちはどうするのか、そもそもどうやってこの宿まで来るのか。

夜、少しだけ雪が降り、気温も落ちてくれた。

時々、遠くからイヌが吠えてくる。
いつの頃からか、ほとんどの家庭でペットは屋内で飼うようになったようだが、田舎の農家なんかではまだ外で飼われている。

しかしさすがここは日本、外で飼われていてもしっかりつながれており、道路まで出てきて襲いかかってくるようなことはない。
イヌストレスから解放されるというだけでも、この国は安心してサイクリングできる。

遠くにオホーツク海。
流氷の季節にはまだまだ早いようだ。

少し内陸へ。

道の駅、相生。
ふつう道の駅のレストランは17時まで営業しているが、ここは15時で閉店。
売店にはたいした食料も売っておらず、適当に買って外で食べようとした。
すると店の人が僕を引き止め、すでに閉店したレストランを開けて、「ここで休憩していってください」と言ってくれた。
ゴミも捨てさせてくれた。
やさしいな。

いつもテントを張る時は人に見られぬようコッソリやるのだが、この日は何人かに見られ、声をかけられた。
皆、僕がまるで死にゆく者であるかのごとく唖然として見つめてくる。
いや別にふつうですよ。

朝、-17℃まで落ちた。
いい頃合いだ。

山の中へ入っても雪は少ない。

標高420m、阿寒湖。

凍結している。
氷上にテントを張って釣りをしている。
スノーモービルも走っている。
マリモは見えない。

阿寒湖の湖畔は思ってたより観光地。
聞こえてきたのはほぼ中国語だった。



永山峠(標高747m)。

Warmshowers泊。
日本で利用するのは初。

ホストは日本人女性で、サイクリストではなくハイカー。
アメリカ西海岸の山岳をメキシコ国境からカナダ国境まで3ヶ月かけて単独で歩いたこともあるという、見た目の印象からは想像つかないバイタリティの持ち主。
自分が旅するのも好きだし、旅人をもてなすのも好きで、今はゲストハウスを立ち上げることを目標にしているそうだ。
なんとも誠実そうで邪気を感じさせない、それでいて強い芯がある、そんな人柄。
ふつうに生活していてもこういう人にはなかなか遭遇できない、Warmshowersならではの出会い、日本でも試してみて良かった。
食事も朝夕つくってくれて、おいしくいただいた。

部屋が広すぎて驚き。

標高355m、摩周湖。

見えんっ!

バイカル湖に次ぐ世界2位の透明度。
流入河川も流出河川もない閉鎖湖。
水深の浅いサロマ湖や阿寒湖と比べてやや深いため、凍りにくいそうだ。
切り立った崖に囲まれており、湖面まで降りることはできない。
3つの展望台があるが、冬季にアクセスできるのは第1展望台のみ。

札弦(さっつる)という小さな街のライダーハウス。

事前にオーナーに電話する。
1000円。

ストーブ故障。
僕はそれでもかまいませんということで泊めさせてもらった。
暖房費引いて500円にしてくれよと思ったが、しっかり1000円とられた。

外は氷点下、室内は暖房なしでも2℃ある。
水が凍る心配をしなくてすむ。

ライダーハウスの離れにトイレ小屋があるが、水道はない。
徒歩10分ほどにある道の駅で、食事、風呂、トイレなどを利用できる。

知床を越えるのを楽しみにしていたのだが、知床峠は冬季閉鎖ということを直前になって知った。
やむなく、半島の付け根を通るルートで。

突然、リアブレーキの調子が悪くなった。
どういうわけかインナーとアウターがくっついてしまって、レバーを握っても効かない。
初めての現象、原因は不明。
いろいろいじってみるうちに、インナーケーブルがよれてしまったり曲がってしまったりして、これはもう交換しなければならない。

フロントブレーキだけで峠を下り、小さな街のホームセンターでブレーキワイヤーセットを購入。
「一般車用」と書かれている、つまりママチャリ用。
こんなの買うのは初めてだが、MTB用と互換性があり、かっちりハマって長さもちょうど良く、うまいこと交換できた。

応急処置としては上出来、でもあまりにもショボい。
強度、耐久性は信頼しがたい。
札幌に戻ったらちゃんとしたのに買い替えよう。

超追い風。

オホーツク海沿岸は北風が優勢。
北上はやめた方がいい。

しばらく風に乗って調子良く南下した後、根室方面に東進。
これが斜め前からの向かい風となり、苦戦。
しかも根室半島はアップダウン。

根室のゲストハウスで1泊。
部屋は個室、風呂トイレキッチン等は共用。
4140円。

車で旅する外国人と出会うと、たいてい「昨日君を見たよ」と言われる。

近くのスーパーで鹿肉弁当が売っている。
注文してから店内で焼いてつくってくれる。

開けてみると、、、ショボっ。

これで大盛り、680円はないわな。
味はおいしかった。
スジ肉だが程良い弾力があった。

翌日はよく晴れ、海の向こうにかすかに国後島らしき陸地が見える。

すでに実効支配された領土が返還されることはない。
仮に返還されたとしたら、すかさずアメリカが基地を置くことになるだろう、これはロシアが最も嫌がること。
ロシアにとって北方領土返還はメリットなし、リスクしかない。
アメリカファーストを貫くトランプ政権なら北方領土など知ったことかと言いそうなもの、それなら自分の国は自力で守るということで軍拡不可避。

返還されたら日本にとっては領海の拡大というメリットはあるものの、その場合すでに島で生まれ育ったロシア人たちに「ここはもともと日本の領土だから出て行け」と追放するつもりなのだろうか。
「もともと」の話をしだしたら、もともと北方四島に住んでいたのはアイヌ人で、日本人が開拓し居住するようになったのは明治以降、最近のこと。

もう一度戦争でもして武力で奪還する以外に可能性はない。
現実性を失ったまま、それでも返還を求める声は今もある。
日本としては、戦時下におけるソ連軍による不法占拠ということで、立場上は今後も返還を要求し続けなければならないが、現実には外交カードとして利用されているだけだろう。


風蓮湖。

氷上で羽を休めるオオワシ。

日本最大のワシ。

また気温上昇。
暑くてやってらんねえ
汗かきすぎて服が濡れる。

もう雪は跡形もなく、濡れてすらいない。
スパイクがアスファルトを無意味にバチバチと弾く。

雪ないので森で寝る。

夜。

シカが僕の存在に気づいて、怖がってまた甲高い声を上げて鳴き続けた。

星は満天キラキラ。

走行中。
シカの群れが僕から逃げようと道路を横断する。
しかし道路の両脇にはフェンスがあり、シカたちはフェンスに衝突してパニック状態になる。
よく見ればフェンスがないところへ逃げ込むこともできるし、あるいは僕とは逆方向に逃げればいいものを、そこまで知能は高くないようで、逃げ場がわからず闇雲に駆け回る。
僕のことは怖がるが車は怖がらないため、何度も轢かれそうになる。

現在、エゾシカの生息数は推定73万頭。
年間15万頭を駆除しているそうだが、ハンター不足もあってまったく追いつかず、繁殖力の方が上回っている。


釧路近郊。
風景は美しいが、国道は交通量多すぎ、大型車多すぎ。
うるさくてかなわんので、またローカルロードに逃避。

静か~
やっぱローカルロード一択だな。



北海道釧路市

1560km



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