プーノ→クスコ (Peru)
湖畔に沿って進めれば楽なのだが、ガンガン登らされる。
おかげで眺めはいいのだけど。
チチカカ湖からも離れて、風景一変。
人口集中する土地とそうじゃない土地とのギャップありすぎ。
その後はフラット。
幅広のきれいなハイウェイ。
出た、これか。
料金所、燃やされてる。
これもう、テロだよね。
民衆のデモ隊だったら何やっても許されると思ってるのかな。
カサニのイミグレーションもこんな風に燃やされたそうだ。
座り込み。
石を置いたりロープを張ったりして道路封鎖しているが、歩行者や二輪車ならなんとか通してもらえる。
通る際、またセニョーラたちに泡スプレー攻撃されたり水風船を投げつけられたりして、ズブ濡れになる。
セニョーラたちはケラケラ笑い、地元民同士でもかけ合って喜んでいるので、悪意はなさそうだ。
タイのソンクラーンみたいに水鉄砲攻撃ならかわいいものだけど、背後から不意に水風船をぶつけられるのはけっこうな衝撃。
まあそんなヤワでもないので別にいいのだけど、しかしこんなことして一体何になるのでしょう。
交通や物流を麻痺させることで経済的損害を発生させ、政府に圧をかける。
わからなくはないけど、やり方がストレートじゃない、駄々っ子みたいなものじゃないか。
無関係な人も巻き込むし、自分たちの首を締めることにもなる。
どうせ戦うのなら、国家の中枢を攻め落として政権奪取するぐらいのことをやらないと、自分の主張が通るなんてことはないでしょう。
仮にそんな革命を成し遂げたり、あるいは現政権がデモ隊の主張を聞き入れたりしたところで、長続きはしない気がする。
プーノから50km足らずのところで、フリアカというまた大きな街がある。
なんだかこっちの方が、異様な雰囲気。
街の中心部でも道路封鎖し、半ば無法地帯のように騒いでいる人々。
ここでもまた水風船攻撃を食らった。
若者がトラックの荷台に乗って街を走り回り、その辺の人に水風船を投げつける。
もう反政府デモとか関係ない、ただ便乗して騒ぎたいだけのアホなのか。
フリアカを抜けると、また人気のない静かな道。
しばらくは平穏なのかな。
しかし路上のあちこちに大きな石が置かれたままになってたり、タイヤを燃やした跡があったりする。
せっかくのきれいな道路が傷ついて、道路をつくった人たちも報われないな。
あー、また封鎖。
車は止められているが、僕は進まないわけにいかない。
「通っていい?」
「今閉鎖中だから、待ってろ」
「いや今通りたいんだよ」
「この先の街でも閉鎖してるんだよ」
「通してよ、お願い」
「わかったよ、行け」
なんだろな、このムダなやりとり。
でもおかげで、道路を独占して静かに走れる。
車が通らないので、ウシさんたちも悠々と。
しばらくすると、先程止められていた車たちがまとめてやって来た。
完全封鎖ではなく、時間で開け閉めしているのか、よくわからん。
アヤビリ。
小さな街にも立派なカテドラルがある。
ペルーは今までの国よりカトリック感が色濃い。
田舎街はだいぶ平穏。
店は閉まっているところが多いが、荒れてる感じはない。
小さな街でも宿は豊富にある。
久々の1階。
サイクリストにとって、1階の部屋ほどありがたいものはない。
特にこの空気の薄さで部屋が3階とか4階とかだと、荷物を運び上げるのに数回往復するだけで激しく息切れする。
1階だと自転車も室内に保管できて安心。
30ソル(1071円)。
Wi-Fiあり。
あるのが当たり前なのだけど、ボリビアからやって来たのでチェックイン時に慎重に聞いてしまう。
田舎街の安宿でもネットは調子良い。
翌日は雨、連泊。
標高3900mでフラットが続く。
アヤビリの先は、もう封鎖してないのか。
ペルーの国土は日本の3.4倍。
沿岸部は砂漠、中部はアンデス、東部はアマゾン。
それぞれ気候や植生など環境が著しく異なる。
主産業は鉱業と水産業。
銀の産出量と漁獲量は世界でもトップクラス。
人口は3300万人。
メスティソ45%、先住民37%、ヨーロッパ系15%。
日系人も多い。
南米の日系人といえばブラジルのイメージが強いが、19世紀末から南米に移住した日本人はブラジルだけでなく、パラグアイ、ボリビア、ペルーにも渡り、現在でも日系ペルー人の多さはブラジル、アメリカに次ぐ世界3位の規模。
1990~2000年に大統領に就任したアルベルト・フジモリは、南米初の日系大統領。
大学教授で政治経験はなかったが、ハイパーインフレや赤字を解消する経済再建、テロ対策強化による治安回復、などの功績で高い評価を得た。
しかしそのパワープレーは半独裁的な強権政治と批判され、汚職問題もあって失脚した。
娘のケイコ・フジモリは三度大統領選に出馬し、2021年にはカスティージョに僅差で敗北した。
「ピチュ」はケチュア語で「峰」の意。
標高4300m。
ここから長い下り。
農村地帯が続く。
ボリビア以上にイヌがうっとうしい。
こういう農村や小さな街が一番やっかいだ。
トウモロコシは中南米原産。
他に、ジャガイモ、トマト、カボチャ、アボカド、トウガラシ、タバコなども中南米原産。
農業の始まりが文明の始まり。
文明の発祥地は、ユーラシア大陸。
ユーラシアは世界最大の大陸であり、最も変化に富んだ地形で、気候帯もフルコースでそろっている。
そのため動植物も多種多様で、作物化に適した植物や家畜化に適した動物が最初から数多く存在していた。
現代でも馴染みのある代表的な穀物や家畜は、だいたいユーラシア原産。
そして東西に長くのびているため、同緯度の似たような気候の地域間で作物が伝播し共有されたことによって、廃れることなく改良が重ねられていき、人類は狩猟採集民族から農耕民族へと進化していった。
メソポタミア、エジプト、インダス、長江黄河、といった名だたる古代文明がそろいもそろってユーラシア大陸であるのは偶然ではない(エジプトはちょっとずれてるけど)。
これらが文明の発生源となったことで、人類の歴史は動き出した。
以後、世界史はユーラシアが表舞台となって繰り広げられ、他の大陸はしばらくは原始のまま放置されることになる。
その例外が、中南米。
中南米も多様な地形と気候の恩恵で、ユーラシアより2000年ほど遅れをとったものの、みずからの手で農業を始め、数々の文明が勃興した。
中米だとオルメカ、テオティワカン、マヤ、アステカ、南米だとナスカ、ティワナク、インカ、など。
ユーラシアとは隔絶され交流はなく、鉄器や車輪は発明されぬまま、代わりに高度な天文学や石造技術が発達した。
1492年コロンブスによるアメリカ大陸発見、からの16世紀スペイン・ポルトガルが侵略にやって来る頃、南米にはインカ帝国がここペルーを中心として広大な領土を有して隆盛していた。
クラクションうるせえ。
イヌの民度が低い国ではドライバーの民度も低い。
ここも燃やされてる。
標高が下がるほど山が険しくなっていくという不思議体験はメキシコでもあった。
メキシコ高原もアンデス高原も、巨大なテーブルマウンテンのようになっている。
下って下って標高3200mほど。
ウルコスという街で1泊。
なんとも色鮮やかに着飾った先住民女性がちらほらいる。
写真撮りたいけど、撮影お断りのオーラがむんむん漂っており、撮れない。
クスコ都市圏へ。
例によってバスやタクシーにいちいち進路妨害されるストレス。
しかしふと気づくと、道路の中央に自転車レーンが。
まさかペルーに自転車レーンがつくられる日が来るとはねえ。
しかも尻切れトンボではなく、ちゃんと続いている。
これだけ発展できるのなら、ドライバーもクラクション鳴らすのやめろや、って話だ。
自転車用の信号が青なのに、完全に進路を塞ぐアホども。
おまえらはちょっとでも自分の進路を塞がれたりしたら、バカみたいにクラクションを鳴らすんだろうが、アホガイジどもめ。
こいつらが消える頃には信号は赤になっているので、ルールを守っていたら永遠に渡れない。
途中から、自転車レーンが端に移ってしまった。
バスに直接妨害されないようにはなっているが、乗降客が脇目も振らず自転車レーンを横断するので危ない。
やはり道路の端はいろいろ干渉するので、これは不正解。
Cusco, Peru
13887km (Total 150581km)