神戸→広島
神戸。
突然、リアハブから音鳴りが始まった。
今まで聞いたことがない異音。
今のSurlyを買った時からずっと同じハブを使い続けている、4万km以上か。
信頼を寄せるSHIMANO XT、もう限界か。
幸いここは大都市、神戸。
さっそく大きめの自転車屋へ。
しかし、「ハブ」という言葉を発しただけでしかめっ面をする。
「他のお客さんの予約も入ってましてゴニョゴニョ、、、」
とまるで頼れない感じ。
とっとと次の店へ。
なんと、ワイズロードがある。
ワイズロードは、関東から九州にかけて店舗を展開する全国的大手。
しかしここでも、「Surlyはウチでは取り扱っていないのでゴニョゴニョ、、、」
いや見てほしいのはハブだけで、車体は関係ないのだが。
ワイズロード全体の規定で、取り扱っていない車体メーカーのものはパーツ修理もしない、だと。
12時開店という遅いスタートで、わざわざ12時まで待っていたのに何のサービスも受けられず、貴重な時間をムダにした。
大手の店はマニュアル対応で融通が利かず、困った時ほど頼りにならない。
世界各地の自転車屋で、修理やパーツ交換等をやってもらってきた。
駆け込みで助けを求めても、ゴニョゴニョ言って対応してくれないのは日本ぐらいだ。
1年ほど前にもリアハブが調子悪くなり、フィリピンの店でお願いしたら即対応で短時間で直してくれた、しかも500円ぐらいだった。
個人経営の店を探すしかない。
しかし日本で個人店といったら、ママチャリしか直せないなんて店だったり、アタリハズレが激しいだろうからバクチである。
ともあれ、あたってみるしかない。
おじさん一人でやってる小さな店に行ってみたら、すぐさま対応してくれた。
これはアタリか。
ここは関西なので関西弁なのは当たり前なのだが、関西弁特有の親しみのある人柄。
身の上話など会話をしながら、ゆっくりとハブをバラして、グリスアップしてくれた。
途中で、「アカン!」とか「何やコレ!?」とか「ベアリングが1個足らん!」とか言うので不安にさせられつつも、なんとか無事に。
異音はだいぶ軽減されたが、まだわずかに鳴る。
おじさんも渋い表情をしていた。
今回は応急処置、もうこのハブは交換せなあかん、と。
それからBBもゴロゴロゆうとる、チェーンも伸びとる、ギアも歯が擦り減っとる、と各種ダメ出しをされた。
タイヤの件もそうだが、東京にいるうちにすべてやっておくべきだった。
ハブは、取り寄せて交換となるとそれなりの日数がかかると思われる。
超激安の宿でもあれば長期滞在してもいいが、そんなものはない。
とりあえず当面は、だましだましこの状態で乗り切るしかない。
段差だらけデコボコだらけの歩道は極力避けて、車道を走らねば。
5000円のところを4500円に負けてくれた。
フィリピンの10倍か。
おっちゃん、ほんまおおきに。
助かったわ。
明石海峡大橋。
全長3911m。
日本で2番目に長い橋であり、吊り橋としては日本最長。
2022年までは世界最長の吊り橋であった。
1998年開通。
建設途中に阪神淡路大震災で地盤のズレが生じたものの、橋自体に異常は見られず、その耐震性が証明された。
橋は自動車専用道。
自転車で淡路島へ行くなら、高速船で。
瀬戸内海というと静かな片田舎のイメージがあるかもしれないが、神戸、明石、姫路、と人口集中地帯がしばらく続く。
瀬戸内海北岸のメインロードである国道2号、いわゆる旧山陽道は、交通量が非常に多く、大型車も多い。
そこまでひどく走りづらいというわけではないが、それでも都市圏はすみやかに抜けてしまいたい。
加古川。
姫路城。
現存する日本最大級の城郭建築であり、巧妙な構造と精巧な技術、そして優美なルックスから、日本一の名城とされている。
1346年築城。
増築や修復を繰り返してきたとはいえ、攻め落とされることもなく、焼け落ちることもなく、保存状態は非常に良好。
しばらく山のないフラットな道。
トンネルを一度もくぐることなく一日が終わる、というのは久しぶり。
ようやく静かな田舎。
牡蠣の養殖かな。
「じゃけえ」は広島弁だと思っていたが、岡山県でも「じゃけえ」と聞こえてくる。
倉敷。
文化財として貴重なのはわかるが、保護されて観光地化されたテーマパークのよう。
ビジネスホテルで1泊。
4332円。
なんと朝夕2食付き。
残念ながら、夕食はごはんのおかわり有料。
サラダは取り放題だったので、サラダだけモリモリ食べた。
朝食は、バイキング食べ放題!
戦闘開始!
朝食付きはすごい久しぶりだし、夕食も付くホテルなんて初めてだ。
これで4000円ちょっとだなんて、奇跡。
朝食会場は大盛況。
ビジネスホテルなので、皆さんこれから仕事、せわしなく去って行く。
僕は何にも縛られることなく、心ゆくまでおかわりを続けた。
尾道あたりから、工業地帯。
海も川も、きれいとは言えない。
川はドブ臭い。
この日は、快活CLUBで最安の30分210円コースで。
この30分で、シャワーを浴びて、ドリンク2杯とソフトクリーム2杯をいただいた。
これが快活マスターの技。
しかしすごいな。
どこの世界に210円でシャワー、ドリンク飲み放題、ソフトクリーム食べ放題、電源、Wi-Fiまで提供してくれる店があるだろうか。
しかもシャワー室にはシャンプー、ボディソープ、タオルあり。
ゴミだって捨てられる。
そして道の駅で寝る。
この日の出費は210円と、食費だけ。
朝はホテルでたらふく食べたし、晩は運良くやよい軒があったのでまたごはん食べ放題。
満足度の高い一日であった。
しかし、この道の駅の眺望の良さが仇となった。
深夜、カップルがいちゃつく声で起こされたり、地元の若い衆がバイクで集結して騒ぎ立てたり、安眠を阻害されることとなった。
野宿する上で警戒すべきは、こういう若年層。
中高年は、悪人でも夜になったら眠くなっておとなしく家に帰って寝るだろう。
若者というのは、無意味に覚醒して夜通し群れて騒ぎたがるもの。
もちろん自分にもそういう時期があった。
国道2号からそれて、海沿いの道。
瀬戸内海には、700以上の島がある。
水平線はほぼ見えない。
ちなみに日本が領有する島の数は、6853。
世界で8番目に島の多い国である。
広島県広島市
4029km