広島→下関
広島。
ローカルグルメを楽しみたいという気持ちは常にあるのだが、なにかと理由あって見送ってしまうことが多い。
もちろん広島ではお好み焼きを食べたい、でももし混雑してたり、一人だと入りにくい店しかなかったらあきらめるつもりでいた。
しかし、うまいこと見つけた。
一人でも入りやすい店、開店直後の空いてるタイミングをねらった。
広島には実に多様なお好み焼きがあるようで、いずれもここでは「広島風」なんて呼ばれることはないと思うが、一般的に最も「広島風」と思われる「肉玉そば」を。
んんんんんうまい!!!
1枚で足りるはずもなく。
そばなしのシンプルなものを追加で注文してみたが、これは思ってたより薄かった。
計1750円。
2枚で足りるはずもないが、ここでブレーキをかけないと破産する。
コンビニでパンでも買うしかない。
2枚目もそば入りにしときゃよかったな。
レビューには英語で書かれた文も多かったが、メニューは写真なしの日本語のみ、店主の御夫婦は英語を解するようには見えない。
いかにして言語の壁を乗り越えているのか。
ホステルで2泊。
Guest House BLANC。
なんと1泊2000円。
今時こんな安いところはなかなかない。
しかも広々としていてキレイ。
スタッフもフレンドリー。
ドミトリーも広く、荷物を置くスペースは十分にある。
翌日は、曇り予報がハズレて、雨。
でも雨のあたらない場所に自転車を停めていたのでセーフ。
そして1階がコインランドリーという便宜の良さ。
申し分のないサービス、これでなぜこんなに安いのか謎。
東京、横浜、熱海、神戸でもホステルに泊まったが、極狭ではきだめのような宿、自転車を停める場所すらなくて有料の駐輪場に停めざるをえなかったり、もう一度泊まりたいなんて気は起きない、しかもどこもここより高かった。
ここなら、広島に来たらまた泊まりたい、と思える。
交通量が多すぎて何の風情もない国道2号から、少しでも離れて静かな道へ。
でも現実的なルートとしては国道2号が最もスムーズに進めるので、結局戻って来てしまう。
しばし内陸。
スーパーのベンチで休憩してたら、しゃべりだしたら止まらない系のおばちゃんにつかまった。
急いでいるわけもなく、おばちゃんの話に付き合いながら、国や時代を問わず旅をしていると必ず現れるこういう時間、なんだかこのひとときを客観的に俯瞰していた。
コーラとかっぱえびせんをいただいた。
久々のかっぱえびせん、妙に美味かった。
山口県もけっこう工業地帯。
陶芸家になった友人に会いに行く。
いやこんな山奥だなんて聞いてないぞ。
どこだよ、あいつん家は?
ここなのか。
表札があるわけでもなく、チャイムがあるわけでもなく、いるのかいないのかもわからず、勝手に入って捜索。
煙が上がっているので、いるようだ。
奥の山の方へ行ってみると、薪を背負って歩く仙人が、いや友人が現れた。
17年ぶりの再会。
写真にはおさまりきらない広大な敷地。
薪を集め、畑で野菜を育てながら、完全手作業で陶器をつくっている。
ライフラインは電気のみ。
水道は井戸水。
ガスはなし。
電波はきわめて微弱。
真空管のオーディオアンプにレコードプレイヤー。
立体感ある極上の音。
彼は高校の同級生。
東京生まれの東京育ち。
ある時期から陶芸家をめざし沖縄へ移住、長らく修行。
独立してからは山口で自分の工房を持ち、器をつくり続けている。
と話は聞いていたが、ここまで仙人暮らしをしていたとは。
これはちょっと想像を超えてきた。
薪が生命線。
食事をつくるにもお湯を沸かすにも、毎度薪で火を起こす。
煙はこもることなく、屋根の隙間から抜けていく。
自然食、といった感じ。
いい生活してるな。
自然の素材を使うこと、手作業手作りすること。
たいていのことはボタンひとつでポンッと完結してしまう現代の文明社会では消去されてしまっているもの。
ここでは行為のひとつひとつに意味をこめて、丁寧な暮らしを送っている。
人口10人の集落。
それでも友達も仲間もいて、人との関係を築けているという。
朝もしっかりつくってくれた。