那智→神戸

那智勝浦。

また天気悪化。

少し山へ入り、滝へ。

那智の滝。

落差日本一(133m)。




午後から雨予報。
僕の旅は、雨天走行を避けるべく綿密にプランを組む。
そのために宿代を出費するのもやむをえない。
この日は移動をやめて、那智勝浦で宿を確保。

問題は、チェックインの時間までどうすごすか。
屋根があって座れて長時間すごせるような場所を探さなければならない。

大半の国では、部屋さえ空いていれば何時だろうと、たとえ午前中でもチェックインさせてくれる。
部屋が整っていない時は、「10分待ってくれ」と早業で整えてくれる。

日本の宿泊施設のチェックインタイムは、平均すると15~16時と遅い。
しかもここは、世界一パンクチュアルな国。
多少なら融通を利かせてくれたりもするが、宿泊する日はいつもチェックインタイムに合わせて行動しなければならない不自由さがある。

翌日も、雨予報。

さすがに連泊する気にはなれなかったし、なんとなくまた予報がはずれるような気がして、思い切って出発。

思えば、スマホの登場によって衰えてしまった感覚というのはたしかにある。
以前は、ひたすら空を見つめて天気を予測していた。
もちろんはずすことも多かったが、少なくともスマホでレーダーを見つめてる今よりは、感覚が研ぎ澄まされていた。

情報が旅の障害になることもある。
この空模様だったら、予報が雨でもGOだな。

本州最南端、潮岬。

いや~、晴れた。
予報がはずれるだろうという予感が当たった。

申し分ない状況、と言いたいところだが、選挙カーの演説が静寂をブチ壊す。
こんなところまで来るなよ。
耳をつんざくような爆音で迫って来て、笑顔で手を振ってくる。
なかなかの狂気。

潮岬の根元、串本町の眺望。
その街中からも、狂気じみた演説がここまで聞こえてくる。

世のあらゆる職業は、騒音公害にならぬよう最大限の配慮を求められる。
例外は救急車や消防車のサイレンぐらいのものだ。
選挙カーの爆音演説がたとえ合法的に許可されているとしても、良識という感覚が備わった人間であれば絶対にこんな迷惑行為はしない、世のため人のために働く政治家ならなおさらのこと。
「社会を変えてみせます!」とか演説してたけど、まずはそこから変えてくれ。

通りすがりの人から、ドリンクをいただいた。

北海道と比べると頻度はぐっと落ちるものの、フレンドリーに声をかけてくれる人は時々いる。

道の駅で寝るのは久々かな。

この辺の道の駅は温泉とセットになっているところが多く、あちこち走りまわる手間が省けて楽。
でも道の駅のつくりは場所によってさまざまで、テントを張れるスペースがないようなところもあるので、事前にストリートビューでチェックしておく。

海岸を離れ、山へ。

バイクで突っ走る人がたくさん来ている。

龍神村という温泉郷。
険しい山中だと、寝れるような公園もなく、道の駅も狭い。
ちょうどいいバス停を見つけてしまった。

翌日。
一日雨予報。
この予報は当たる気がしていた。
安宿などあるはずもなく、あったとしてもチェックインの時間まであまりにも持て余すし、出発するしかない。

久々の雨天走行。
憂鬱。

雨だからなのか日曜日だからなのか、幸い交通量は非常に少ない。

長い登り。

カモシカ。
先日見たのと色が違うな。

標高1200m、道の駅護摩山。

標高の高い峠がない日本。
ささやかながらたまにはこれぐらい登って、旅にアクセントをつけたい。

雲海が見れたりしたら、という期待ははかなく砕かれ、雲の中で何も見えず。

強風。
風速10mはゆうに超えていたと思うが、木に守られて走行にはさほど影響なし。

奈良県野迫川(のせがわ)村。
以前、仕事の出張でこの辺に来たことがある。
大阪京都奈良の大都市圏はすぐそこだというのに、とんでもない山奥の僻地。
国道なのに電波もなく、なかなかの衝撃であった。
大平原地帯である関東と違い、関西はとても山が深い。

日本に杉の木は何万本あるのだろう?

高野山。

雨足強し。
下りでスピードが出る中で強い雨に打たれ続け、ブレーキパッドもだいぶ擦り減る。

なかなかやまない長い雨に屈して、ホテル泊。
たどり着くとそこは、ラブホテルだった。
予約サイトを見た限りでは、ふつうのホテルだったのに。
「ダブルルーム 大人2名用」で格安料金、カンの良い人だったらこれで気づくのかもしれない。
でもレビューには「ビジネスで利用しました」なんて書かれていたし、チェックインの際も特に何も言われず変な目で見られることもなかったので、どんな用途でもかまわないようだ。

ラッキーなことに、駐車場の一角に散水栓とホースがあり、洗車できた。
部屋は驚くほど広く、ラブホテルなだけあって風呂も広い。
盛大に洗濯して、広さを存分に活用して干すことができた。

雨天走行の何が嫌って、自転車も荷物も衣類も何もかもが汚れてしまうこと。
それがスッキリ解消、これだけでもこのラブホテルを選んで正解だった。

翌日。
大阪都市圏に行くには、もう一山越えなければならない。

でも峠のトンネルが、ことごとく自転車歩行者禁止。
またGoogle Mapsのルート検索にだまされて、トンネルの間近まで来て知る。

車はトンネルでサクッと越えるが、自転車は大周りしてあの山を登らなければならない。

エンジン付きの乗り物に楽をさせて、人力に苦行を強いる。
道路とはそういうもの。

急ぎでなければ別にいいのだが、この日は夕方から雨予報。
ややタイトなスケジュールを組んでしまったので、急ぎたい。

自転車も荷物も衣類も、すべてキレイにスッキリさせたばかり。
その直後に雨天走行してまた汚すのだけは阻止したい、せっかくラブホテルに泊まった甲斐がなくなるってもんだ。

淀川。

16時頃、神戸に到着。
この晴天がウソのようだが、予報通りこの後雨が降り出した。


兵庫県神戸市中央区

3722km



このブログの人気の投稿

旅再開

稚内→網走