九十九里

ただいま、世界でいちばんメシが美味い国。

本当に本当に、泣けるほどおいしい。
こんなにもジューシーでやさしく、味わい深い食は他国には存在しない。
しかもごはんおかわり自由だなんて。
すべてを過去にするとはこのことだ。

今この地球上で、僕以上に和の味をかみしめている人はいないでしょう。
また一段とミニサイズ化したような気がしなくもないけど。

空港でもコンビニでもレストランでも、あまりに懇切丁寧な対応をされて、ウルっとくる。
なんてちゃんとした人たち。
世界標準の接客がどんだけ雑で無能で無礼か、わかってるんだろうか。

世界各地、クオリティは低いままでプライスだけが日本を追い越してしまった。
ロークオリティ&ハイプライスが当たり前となってしまった世界旅行から帰還すると、日本の超絶ハイクオリティにはせつなさすら感じる。
クオリティを下げずしてプライスを上げまいとがんばりすぎちゃってるんだな。
でもコストプッシュ型のインフレだから、どんなにがんばったところで不景気の構造は変わらないんだな。

よりによって、GWの真っ最中に帰って来てしまった。
明けるまでは動くべきではない。
成田空港から34km、九十九里の安宿で息をひそめる。

個室、2520円。
都内近郊はもちろんこの界隈でもGW中でこれは破格。
これも古民家というのか、古い家を安く買い取ってリフォームし、手作り感あふれるゲストハウス。

九十九里。

外国人なんかいやしない。

サイクリストにとって日本の道路は最悪、という記憶が刻まれているが、この辺はとても走りやすく、気持ちいい。

のどかだー。

日本、いいね。

コロナ禍の日本(東京)での生活に心底嫌気がさしたことを忘れたわけではない。
環境や状況によって、感情なんてコロコロ変わるものだ。
ただ今は素直に、この国をしっかりと見つめてみたい。

海岸から内陸へ9kmほど行くと国道がある。
田舎の国道の典型だが、名だたる飲食店チェーン、ホームセンター、ダイソー、ユニクロ、ドンキホーテなどがずらりと並び、まったく不便さを感じさせない。
久々の日本の買い物、膨大な品ぞろえと超絶ハイクオリティなアイテムに、どうしたってテンションが上がる。
やっぱ便利だな、恵まれた国。

あらゆるものに感心してしまうが、店内でJ-Popやら宣伝歌やらを鳴らすのだけはいいかげんやめてほしい。
僕はああいうノイズを耳に入れたくないし、他の客なんか誰も聞いてなさそうだし。
無音でいいんだよ。

床屋に行き、服を買い、なんやかんや小物類を買い、だいぶ散財してしまった。
東京に行ったらやるべきことが山ほどあり、また残高が一気に減ることだろう。

GWが明けるまで「海っぺり」に滞在したかったのだが予約が取れず、同系列の「川っぺり」に移動。




千葉県山武郡九十九里町

121km



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