サンタクラリタ→ラアチャドゥラ (El Salvador)

エルサルバドル入国。

ここもやってるねー。

小さな街で1泊。
Hostal Don Luis。

汚い砂利道の奥地にあり、どうせボロ宿だろうと思いきや、いきなりグレードアップ。
アメリカのモーテル並みのクオリティ。

これでUS$25は安い。
アメリカ人だったら激安だと思うのだろうが、悲しいかな、ここに来てまた円安進行。
US$1=143円。
今の日本人にとって、25ドルは3588円もする。
まあそれでも、価格崩壊していたホンジュラスの後に来ると、これだけ立派な部屋でこの価格ならまともな理性を感じる。
それに、今持っているドル現金は130円台の頃に引き出したものなので、実際はもう少し安くすんでいる。

ああ、エアコン・・・
今までの宿も時々エアコン付きのところがあったが、古めかしくてパワーなかった。
ここのエアコンは新しく、日本のエアコンと変わらない品質。
キンキンに冷やして、ようやくリラックス。

共用部に冷蔵庫がある。
ドリンクをカチカチに凍らせておくと、翌日の走行で冷えたものを飲める、これだけで1日の快適度をぐっと上げられる。

連泊したい葛藤があったが、さすがにやめておいた。

エルサルバドルは2001年より自国通貨を廃止し、USドルを使用している。
ラテンアメリカでは他に、パナマやエクアドルも同様にドル。
旅行者としては、両替の手間が省けるし、ATMでドルを引き出せるのでけっこうなこと。
現地人としては、紙幣に知らない国の偉人が描かれていたり外国語が書かれているのを見るのはどうなんでしょう。

2021年、世界で初めてビットコインを法定通貨にして脚光を浴びたエルサルバドル。
40歳の若き大統領がセンセーショナルに巻き起こした旋風は失敗に終わったのか。
ビットコインなど誰一人として使っておらず、今後もドル現金社会が続くそうだ。

サルバドル人の38%がアメリカに出稼ぎに行き、そこからの仕送りがGDPの24%にもなるという。
しかし送金するにも多額の手数料がかかり、受け取るにも国民の70%が銀行口座を持っていない。
口座があっても銀行がある街まで何時間もかけて行き、ようやくたどり着いてもATMの不具合で引き出せなかったり。
世界の多くの地域ではまだこんな感じだ。

そこでビットコイン。
銀行口座不要、手数料不要、スマホと電波さえあればあらゆる決済ができる、格差なく平等に開かれた究極のキャッシュレス。

しかも、エルサルバドルは火山の国。
莫大な電力を要するマイニングを地熱発電でまかなうよう推進している。

ところがその後、ビットコインの価値は半分以下まで下落。
価格変動の激しさという致命的な欠陥を残したまま、そして大半の国民が理解を示さぬまま、使う気も起きないということで、そっぽを向かれている。

そもそも仮想通貨=ブロックチェーンは、国家権力による中央集権型システムへのアンチテーゼ。
政府が押し付けるものではないし、自然に熟すのを待てばよかった。

仮想通貨でなくとも、ケニアのM-PESAのように銀行口座不要でキャッシュレス化を果たした例もあるけど、どうなんでしょうね。

サンミゲルという街でホステル泊。

Hotel Europa。
ドミトリー$10(1434円)。
エアコンなし、扇風機。

今までの国と同様、大きめのスーパーや大手ファーストフードチェーンならカード払いできるが、宿では現金のみ。
ビットコインどころじゃない。

ここも、よく人から話しかけられる。
笑顔があり、穏やかな人たち。
対人トラブルが起きそうな予感はしない。

ただ、店の警備が過剰になった。
銀行でも宝石店でもない、ただのスーパーにいかついライフルを持ったガードマンが数人、にらみをきかせてくる。
だからキャッシュレス化すれば、少なくとも現金を強奪されることはなくなるぞ。

少し前から、僕の大嫌いな、買い物する時はバッグを預けろルールが復活してきた。
今回のラテンアメリカ旅では、ボリビアなど一部の例外をのぞいてほぼ廃れたものと思っていた。
店に入るなり呼び止められてバッグを預けろと指示されるのは気分悪い。
百歩譲って、鍵付きのロッカーにセルフサービスで預けるのならまだいいが、また古風な荷物預所みたいなところの番人に預けるのは耐えがたい。
17年前にニカラグアでカメラを盗まれたのも、これのせい。
長くなりそうなのでやめておくが、とにかく理にかなってないアホルール。
これに関しては世界各地のスーパーでガードマンともめてきた。

広い路肩、フラット、木陰。

これだけ好条件ならいくらでも走れますよ。

エルサルバドルは、アメリカ大陸最小の国で、最大の人口密度。
四国よりやや大きい面積に、四国の1.8倍の人口。

メスティソ90%、ヨーロッパ系9%、先住民1%。
主産業はコーヒー、砂糖、綿花を主とする農業。

1969年のホンジュラスとの「サッカー戦争」という不名誉な戦争が知られている。
もちろんサッカーが原因で戦争したわけではなく、以前から両国は移民問題、国境問題、貿易摩擦などで緊張が高まっており、悪いタイミングでおこなわれたエルサルバドルvsホンジュラスの試合でサポーターが暴徒化し、戦争勃発。

5日間だけの戦争だったが、これを機にエルサルバドルは治安と景気が悪化し、12年間におよぶ内戦へと突入することとなった。
この内戦がまた、米ソの代理戦争でもあった。

ニカラグアやホンジュラスと同様、エルサルバドルも中華人民共和国と断交して中華民国と国交を結んでいたが、2018年に逆転。
今後、中米における中国の影響力拡大が予測される。

反米であるニカラグアやホンジュラスとは違い、エルサルバドルは親米。
ビットコイン導入はドルから脱却して中国に寄る意図もあったのだろうか。
今後アメリカはインフレによって経済低迷、中米にはデジタル人民元が流れ込んでくるのか、そしてニカラグアに運河が建設されるのか。
まだ噂話や憶測の域だが、今後の米中対立の場となる可能性は大いにある。

海岸は険しい地形で、キツめのアップダウンが続く。
猛暑+登りのコンボは実にしんどいが、幸い木陰が多くて助かる。

トンネルも続出。

交通量は少ないが、トンネル内は照明がなく、真っ暗で怖い。
地熱発電でマイニングなんかよりこういうところの電気をまず整備してほしいものだ。

アタリの宿は初日だけで、その後はボロ宿ばかり。
特に海岸沿いはリゾートっぽくなっていて割高。
リゾートといってもボロくて汚くて、水準は低いのだが。

予約サイトで安宿を見つけて行くと、窓なしで2畳ほどの独房。

これで$14.30(2064円)。
エアコンなし、扇風機。
一瞬たりともドアを閉めるなんてことできず、朝まで開けっ放しで扇風機最強。

安くてゆっくり落ち着ける宿があれば連泊したいのだが、ノンストップで走り続ける。

エルサルバドルのソウルフード、ププサ。

あちこちでポンポンと、手で叩いて形を整える音が聞こえてくる。
1個$0.3(43円)。

トウモロコシの生地に、中にとろけるチーズとフリホーレ(豆のペースト)が入っている。
最高においしい。
やっぱり僕はトウモロコシ系は全般的に好きだし、とろけるチーズが入っていれば何だっておいしい。
ただ、噛んだ瞬間にアツアツのチーズが口の中に流れ込んでくるので火傷する。


Chiquimulilla, Guatemala

19102km (Total 155796km)



このブログの人気の投稿

旅再開

札幌生活