リオブランコ→ポルトベリョ (Brazil)

リオブランコから東へ26km進んだところで、唐突に通行止め。

事前にそういった標識など一切なく、本当に唐突。
代替ルートもないようだ。
強引に渡ってやろうかと周辺の状況を見てまわったが、渡れるような川ではない。

工事業者たちは、明らかに僕の存在に気づいていながら存在しないものであるかのように見向きもしない。
一般人が工事現場内に立ち入って川を渡れるかどうか吟味しているというのに、「危ないぞ」とか声をかける素振りもない。
この感じだと、もし本当に渡ろうとして川に流されてしまったとしても、誰一人として気にも留めなさそうだ。

東南アジアも、極度に閉鎖的な地方があった。
たとえばベトナムでバイクに追突された時、周囲の人たちは倒れた僕を存在しないものであるかのように誰一人として気にも留めず通りすぎて行った、あの光景を思い出した。
(当時のブログには「バイクはよそみ運転をしていた」と書いてあるが、後で改めて思い返すと、明らかに悪意をもって意図的にぶつかってきたと考えるのが自然)

さておき、どう進むか。
大きく迂回すれば、進路方向の道に復帰できる。
そのためには、いったんリオブランコまで戻らなければならない。
だるぅ・・・
たった数mの川を渡れないがために、数十kmも遠回りをさせられる。

どうりでこの道路、交通量が少ないわけだ。
それでも時々、車やバイクが通過した。
ちょっと止まって「そっちは通行止めだよ」とか声をかけてくれてもいいのにね。
僕なんか見るからに地元の事情を知らないよそ者、気づいていながらあえて声をかける気など起きなかったのか。

昼頃、リオブランコに帰還。
今日はこれ以上進むのはリスクがあると判断して、結局またここに泊まる。
はあ・・・丸一日ムダにした。

当然、違う宿に。
多少高めでも、まともそうに見える宿を選んだ。
しかし高めの宿でも、なぜかいきなり喧嘩口調で、終始ひどい対応だった。
こっちとしてもあまり接触したくないのだが、料金、Wi-Fiパスワード、部屋の場所、自転車の保管場所、などいちいちこちらから聞かないと何も教えてくれない。
お前の方から先に一通り説明しろよ。
まったく、気が回らないヤツばっかだな。
宿側から言われたのは、「身分証明を見せろ」だけ。
何を生意気な。
自分からの要求だけは発言して、その他のことは聞かれたら仕方なく教えてやる、そんなスタンス。

翌朝。
雨は2日前にやんで前日はずっと晴れていたが、川の水位上昇は止まらない。

にぎわっていた河原の遊歩道も、すっかり水没。
宿のすぐ目前まで水は迫っていた。

大きく迂回路をとって無事予定通りの道に出て、この日はGSでストップ。
併設されている宿がお目当てだったが、あいにくトラックドライバーたちで満室。

そんなわけで、久々のキャンプ。

シャワーあり、Wi-Fiあり、レストランあり。
今までGSでキャンプというのはできるだけ避けてきた。
「絶対に人に見られない場所」というキャンプの大原則に反するからだ。
でもこれだけ条件がそろっているのはいい。
ここを離れたら牧草地と泥とジャングルしかなく、テントを張るのは難しい。

トラックドライバーたちが、僕を見てめずらしがって気さくに声をかけてくれる。
この雰囲気だと、危険度は低いと思われる。
ただトラックドライバーたち、エンジン止めてくれないかな。
どうしてかれらは長時間エンジンをつけっぱなしにするのだろうか。

レストランの女性スタッフたちも、親切でフレンドリー。
僕が日本人だと知ると、皆たいそう驚く。
すぐに「Google Translate!」と言ってアプリで意志の疎通をしてくれる。
照れ笑いしながら英語で「Thank you!」と言ってくれた。

いつでもどこでもひどい対応されてばかりだけど、なんだかGS界隈だけは別世界のようだ。

シュラスコ。

肉をくわえて串から抜き取った瞬間、前歯がポロリと取れた。
はぁ・・・

これは因縁の前歯。
17年前、世界旅行ラウンド1を始める直前、日本の歯医者でたいして悪くもなさそうな前歯を削られて差し歯にされた。
当時はまだ自前の歯が半分以上残っており、差し歯というよりはかぶせ物に近かった。
出発してすぐ、アラスカであっけなく取れてしまった。
歯医者に駆け込んでUS$200ぐらい払って治してもらったが、すぐにまた取れた。
その後、ラウンド2でも何度も取れて、各地で歯医者に駆け込んで付けてもらったが、そのたびに自前の歯を削られ、すぐにまた取れ、というのを繰り返した。
帰国した頃には、自前の歯はほとんどなくなっていた。

日本で10万円以上かけて、セラミックのちゃんとした差し歯をつくった。
それが今、取れてしまった。
どうしていつも旅行中に取れるかなあ。
南米の歯医者でちゃんと付けてもらえるだろうか、いやまったく信用できない。
日系で日本語が通じる歯医者でもあれば別だが。
とりあえず紛失しないよう、保管しておく。
奥の目立たない歯ならともかく前歯がないというのは、食べづらいということ以上に、見た目がとても間抜けである。
これから出会う人の前で、思いっ切り口を開けられない。

暑い。
テントは屋根の下で雨があたらないというのもあって、フライシートなし。
それでもテント内は暑くていられない。
22時をまわって、雨が降り出して風が吹き込み、ようやくテント内に入って寝れた。

翌日。
一日雨天走行。

また小さな街で1泊。
自転車に乗った少年が親切に宿探しを手伝ってくれた。

土地柄が変わってきた、と期待していいのだろうか。
それともまた例外的な人にたまたま出くわしただけなのか。

その後、順調に毎日パンクしている。
それもリム側ではなく、しっかりガードされてるはずの接地面側。
パッチはたっぷり買ってあるし、スペアチューブも3本あるので、乗り切れなくはない。
まさかタイヤがバーストしたりはないだろうな。

翌日。
街に着く直前、派手にパンク。
まだ新しいチューブがさっそくダメになった。

この小さな街では、宿でも店でも、会う人皆フレンドリー。
やはり土地柄が変わってきたのか。
日本人だと言うと、やはり皆たいそう驚く。

宿はこういうモーテルタイプが一番好きだ。

部屋は1階のみ。
2階建て以上の建物でも部屋が1階ならいいのだが、たいていいつも上の階の部屋をあてがわれる。
自転車+大荷物だと、1階か2階かで天と地ほど違う。

以前もどこかで書いたが、中南米で「motel」というとラブホテルを意味する。
北米の一般的な宿泊施設である「motel」と混同すると大変なことになりかねないので注意。

朝食付きなんて、久しぶり。

日が高く昇ると暑くなるのでなるべく朝早く出発したいのだが、朝食付きなら話は別。
時間をかけてたくさん食べる。
まともなコーヒーも久しぶり。

ポルトガル語で「朝食」は「café da manhã」、直訳すると「朝のコーヒー」と表現される。

今思えば、これまでの宿も朝食付きだった疑惑が多々ある。
でも誰一人としてそんな説明も案内もしてくれなかったので、意識せずにいた。
気分を害するようなヤツばかりだったので、たとえ教えてくれたとしても「いらねえよ」と言ってたかもしれない。



ハキリアリ再び。

カットした葉を巣に持ち帰り、その葉を養分とするキノコを栽培する。
自分たちの糞を肥料にしたり、抗生物質を塗布したり、適正な湿度に保ったりなど、人間以外で農業を営む唯一の生物。 
そしてそのキノコも、ハキリアリが育ててくれないと繁殖できない共生関係にある。 
高度に分業化された複雑な社会が形成されている。 

育てたキノコを食べるのは幼虫と女王アリだけ。
女王アリは20年も生きるが、働きアリは飲まず食わずで働いて数ヶ月で死ぬ。

大型の働きアリは2cm近くあるだろうか。 
僕は何度かくるぶしを咬まれ、その並外れた咬合力を体感した。
その牙は亜鉛とマンガンで構成されている、つまり金属。

中南米では人間の都市文明遺跡だけでなく、アリの文明社会までもが見られる。
ただ皮肉なことに、ハキリアリは人間にとって農業害虫とみなされ、駆除の対象となっている。








Porto Velho, Brazil

15600km (Total 152294km)



このブログの人気の投稿

旅再開

札幌生活