バカラル→カンクン (Mexico)

曇天、フラット、広い路肩。

最高の条件。
直射日光でないだけでどれだけ楽なことか。
しかも追い風。
この日の走行距離は116km。
こんな好条件だったら宿の朝食辞退しなくてもよかったかな、と未練タラタラ。

午後は炎天下、木陰なし。

この日の街はホステルなし。
可能な限りボロい低辺宿を選んだ。

400ペソ(3291円)。

エアコンなし、扇風機のみ。
便座なし。
また未練がましいが、2019~20年時のメキシコで400ペソといったら2000円ちょいぐらいだった。

街のスーパーはやはりどういうわけか生鮮食品が売っておらず、肉屋はやはりどういうわけか閉まっており、また外食。

えんえんジャングルの中の一本道。

ひたすらフラット。
風は向かい風に。

この日は70km以上、店一軒現れない区間があった。
先日のタイヤ破裂がここで起きてたらヤバかったな。

海沿いの道だが海は見えず。
特権階級のリゾートだけが海へのアクセスを占拠している。

旅情をそそられないし物価も高いが、リゾート地であるおかげで街にはホステルがある。
どこもエアコンは夜のみだが。
大型スーパーも出現し、食材も入手できるようになった。

多くの外国人であふれるリゾート。
潤っているはずなのだが、水道があまりにも弱々しかったり、ちょいちょい断水したりトイレが流れなかったり、何かと不具合が多い。
メキシコシティやアメリカ寄りの都市はもっとちゃんとしていたが、ここユカタンはメキシコの辺境地。
知名度はあっても、まだまだ開発途上のようだ。

しかしなんちゅー暑さ。
風は吹いている。
道はフラット。
これだけ走行条件が良くても、圧倒的な暑さに打ちのめされる。
日本やアメリカやヨーロッパで記録的な熱波となるとニュースになるだろうが、メキシコが暑くても何のニュースにもならない。

街の数km手前で、自転車道。

木陰。
これだけで一気に体力回復。
すべての熱帯地方でこういう側道をつくってほしい。

カンクンに到着。

日本人宿が2軒あったのだが、残念ながらどちらも閉鎖。
今や絶滅危惧種となった日本人。
以前のように日本人宿でシェア飯なんていうのも夢のような話になってしまった。

La Luz Hostal Cancun。

ドミトリー180ペソ(1484円)。
物価MAXのカンクンでこの価格ならリーズナブル。

エアコンは夜のみ。
扇風機なしの密室。
日中でもスタッフが部屋の掃除をする時だけはエアコンをつけるというのが癪に障る。
やっぱり客へのサービスより自分本位なんだな。

ウォルマートが近いという立地が最大のメリット。

ウォルマート内はエアコンが効いており、端から端まで歩きながらゆっくり涼む。

ウォルマート内のマクドナルド。
マックシェイクとアップルパイだけで計79ペソ(652円)。

ハンバーガーなんて高級すぎて買えませんわ。
現在、日本ではビッグマックのセットが750円。
メキシコでは115ペソ(977円)。

マクドナルドは世界中でマニュアルが統一されており、どこでも同じ味のものが提供されると言われている。
しかし海外では、ハンバーガーの包み方ひとつとっても乱雑だし、受け取った時点でトレーの上にポテトが散らばってたり、テーブルは前の客がこぼしたものがそのままだったり、とにかくあらゆる点で雑、そして注文から受け取りまでもトロくて長いこと待たされる。
細かい品質や接客サービスに関しては、日本は間違いなくぶっちぎりで世界一。

ただ、店員が英語を話せたのにはびっくり。
さすがリゾート。

満席のため、まさかの立ち食い。
涼みながらゆっくりすごすつもりで買ったのに。 

以前のメキシコ旅行中によく買っていたスシライス。
衝撃の1kg92ペソ(779円)。

これも知ってる。
現在1kg108ペソ(917円)。

こっちの1kg45.50ペソ(385円)を購入。

ティッシュ1箱、58.90ペソ(500円)!?

箱がつぶれてやぶけちゃってるけど、500円!?

スシと焼きそば、買ってしまいましたよ。

スシ、59ペソ(487円)。
UFO、19ペソ(160円)。

もちろんどちらもまがい物だが、それでも日本的なものを食べるだけで幸せな気分になれる。

久々にまともな自炊メシ。
やっぱ一番大事なのは米だな。
肉は、チキン以外は高すぎてとても手が出ない。
野菜も高いので、食材は最低限で。

オクソもすぐ近く。

客が出入りするたびにドアを開けてチップをせがむ人がいる。

ショッピングモールも近い。

もちろんエアコン目的。
日中は宿でエアコンをつけてくれないので、こういったところに避難せざるをえない。
でもショッピングモールのエアコンも弱々しく、まあまあ暑い。

フードコートは、軽食でも一食100ペソ(847円)以下はほぼない。
それで腹が膨れるのなら100ペソ払ってもいいけど、どうせ微々たる量で何の足しにもならないだろうから、いっそ何も食べずに耐え忍ぶ。

なんと回転寿司。

赤いのはイチゴです。

メキシコでもスラムダンクやってるんだな。

世界から日本人は消えてしまっても、和食とアニメは愛され続けている。

宿のエアコンは、19~7時。
これがかなり強烈で、狭い密室というのもあってすぐに冷え込む。
僕はまだしも、他の客たちは明らかに寒がっており、毛布にくるまって体を丸めている。
レビューにも、「寒すぎて眠れない」と書いてあった。
日中は蒸し焼きにして、夜は凍えさせる。
頭おかしいのかな。

夜間に強烈にエアコンを効かせてムダに電気代を消費するよりは、日中に弱くてもいいから最低限人間が居られるぐらいに効かせて、夜は扇風機、という方がエコのはず。
あるいはいっそエアコンはやめて1人1台扇風機を与えてくれた方がずっとマシ。
わざわざ客を苦しめるためにいたぶっているようにしか思えない、鬼畜の所業。

とある宿で、「日中は部屋に誰もいなくなるからエアコンはつけない」と言われたが、いやエアコンを消すから誰もいられなくなるんだろう。
じゃあ僕は日中部屋にいるからエアコンつけてくれ、と言ってもつけてはくれない。
そもそも、リモコンを部屋に置いて自由にさせりゃいいじゃないか。
他のことはいい加減なくせに、なんでそこだけ厳重に管理しようとするのか。
とにかく、ユカタンではこれのせいで日々の行動が制限され、ラマダンやシエスタのごとく時間で縛られる。

宿移動。
どこも似たりよったりだろうけど、少なくとも今の場所にはいられず、移動。

Casa Wayak。
ドミトリー270ペソ(2294円)。

高い分、日中エアコンつけてくれるのかな、という淡い期待ははかなくも裏切られた。
エアコンは20時から。
扇風機なし。

1F共用部に3台の扇風機があるが、3人のスタッフによって占領されている。
だからどうして自分らだけ快適になろうとするかな。
他にくつろげる場所は一切ない。

キッチンはあるが狭く、1人しか使えない。
夕飯時にスタッフが長々と料理して、長時間待たされる。

20時をすぎてもエアコンつかず、スタッフ同士でおしゃべりに夢中になっており、客から催促されてようやくつけてくれた。
こっちは何よりもエアコンがつくのを首を長くして耐え忍んでいるんだけどな。
ここまで鈍感になれる神経は逆に感心。

ちょいちょいこういう、スタッフの遊び場と化した宿に出くわすけど、ここまでスタッフ優先で客が蔑ろにされる宿もめずらしい。
まあこの人たちも雇われてるだけで、給料さえもらえれば仕事やサービスの質なんて考えもしないのだろう。

こんな国が日本より物価が高いなんて、もう世の中めちゃくちゃだ。

また宿移動。
移動せずにいられない。

101 Lenderman Hostal。

個室273ペソ(2318円)。
エアコンなし、扇風機。
前日のホステルとほぼ同額、個室で扇風機使えるのなら絶対こっちがお得。

ホテルというよりは民泊、オーナーの家族がふつうに生活しているところへお邪魔する感じ。
民泊のメリットのひとつとして、洗濯機を無料で使わせてくれるというのがある。
最後に洗濯機で洗濯したのがいつなのか思い出せないぐらい、久々だ。
ほとんど着てない冬物なんかもカビっぽくなったらいけないので、全部まとめて洗濯して、強烈な天日干しで即効乾燥。

ようやく、居られる場所。
この殺人的な酷暑で、謎のガマン大会はもうウンザリ。
ただゆっくりくつろぎたい、それだけなのよ。

しかし、甘かった。
中米の家屋は窓がなく、あったとしても通気が悪く、いくら扇風機をまわしても屋内の空気は入れ替わらず、室温は上昇を続け、湿度も非常に高い。
シャワーを浴びてもすぐに体がベトベトになり、就寝できるまでしばらく扇風機の間近でじっと耐え、気温が落ちるのを待つ。
それでも、ホステルの不快さを思えば、最終的にはもうここでいい。

僕は日本にいる時、人からよく「代謝がいいんですね」と言われる。
この「代謝がいい」というのがどういうことなのか、褒められたことなのかどうか、いまだピンとこない。
旅をしていても、つい先日のホステル滞在中も唐突に「あなたすごく代謝がいいのね」と言われた。
こんなに言われるのだからきっとそうなのだろう、知らんけど。

一般に、男より女の方が代謝が低く、少ないエネルギーで生命を維持し(低燃費)、環境の変化に適応しやすいそうだ。
全世界的に男より女の方が平均寿命が長いのも、これが一因になってるという。

僕はこれだけ世界中を旅してきたのだから、自分には適応力があると思いこんでいたのだが。
この地獄のような暑さで、暑いのは皆同じなのだろうけど、意外と他の旅行者や地元民は平然としており、僕一人だけ大げさに暑がっているようにも思える。
過去の経験で、他の人たちは何ともないのに僕一人だけ高山病になったり脱水症状になったりするという現象も、代謝の個人差と考えると説明がつく。

代謝が良い僕は、高燃費で適応力がない、やはり褒められたことではないのか。
強引にポジティブ解釈するなら、太く短く生きるということなのかな。


Cancún, Mexico

20672km (Total 157366km)



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