エルベリョ→ゴベルナドルグレゴレス (Argentina)
無事入国手続きをすませて一安心、ではない。
イミグレーションから幹線道路に出るまで95km、ローカルロードを行く。
この区間も店や宿は一切ない。
それでもまあ、あの緩衝地帯に比べたらまともな道路が期待できるでしょう。
って、何これ?
あの緩衝地帯と同レベルじゃ困るよ。
でも次第にまともな道になってきた。
チリでは山から流れ出る清流で水を補給できたが、こちらは濁流。
って、橋は?
こんな大きな川を渡らせるんかい。
濁流なので底が見えない。
ためしに歩いてみると、水深は膝ぐらい。
流れは速くない。
3往復半。
無事渡ってやった。
だんだん慣れてくるけど、最初はやっぱ怖いな。
車はまったく通らない。
チリーフラミンゴ。
人間の気配皆無、安定の河原キャンプ。
しかし川が濁流すぎるので、持ってる水だけでやりくりしなければならない。
食料は十分な量を積んできたけど、水がちょっと怪しくなってきたかな。
山を抜けて、次第にフラットになってきた。
石が大きくゴッツゴツのガッタガタで、快適な走行とは言いがたい。
1時間に10kmも進めれば上等。
ペースはともかく、振動がひどくて自転車も荷物も相当なダメージを受ける。
グアナコたくさんいる。
撮った時は気づかなかったが、レアも写ってた。
でかいなー。
アンデスの山々が遠ざかってゆく。
広いなー。
大無人地帯。
僕の大好物。
多くの旅人に踏みならされてテンプレート化してしまったモデルコースなんかよりも、人に見放されたようなむき出しの大地の方がスケールを感じられる。
家畜はいるけど野生動物もいるし。
なんたって車が通らないこの静寂。
15年前の南米走行で、周囲の人たちがパタゴニアの西側を薦めてきたのを無視してあえて東側を走行したのも、やはり僕は元々そういう人間なのだ。
とはいえ、皆が行くような有名な場所も行っとくべきだったかという思いもある。
なので今回は、皆が行くような有名な場所もめざしてみる。
このローカルロード95km区間で通過した車、0台。
やっとこさ幹線道路、舗装路。
イヤッホ~!
久々の舗装路、速い!
しかも追い風&下り。
幹線道路に達してから5kmほど南にある宿をめざしていた。
しかし・・・つぶれていた。
出た出た、さすがアルゼンチン。
ここで水と食料を補給できる期待もしていたけど、閉業している可能性もちゃんと
想定していたよ。
11月7日の投稿で160kmの無補給となると書いたが、それはこの宿が営業しているという前提での話。
確実に補給できるのは、ここからさらに120km先の街。
つまり280kmの無補給区間ということになった。
とりあえずこの廃墟でキャンプ。
まだそんなに古くは見えない。
中をのぞいてみると、つい最近まで営業していたかのようにきれいだ。
広大なパタゴニアの平原地帯。
テントを張れる場所などいくらでもありそうに見えるが、やはり全面フェンスでガードされている。
交通量は少ないが、道路から丸見えのところでキャンプはしたくない。
そして風も強い。
ここがつぶれいたせいで何も補給できなかったが、建物があるだけでもキャンプするには大いに助かる。
やはり水が少ない。
翌日の走行の分も考えると、節約してもかなりギリギリ。
気温が低いからいいけど、もしこれで暑かったらSOSだな。
食料はちょうど。
前日に余剰の食料に手を出しそうになったのをためらっておいて良かった。
幹線道路沿いでも電波はなく、ネットはできない。
アルゼンチンのSIMがまだ有効で、チリにいる時に少しだけチャージして、アルゼンチンに入ったらすぐに使えるようにしておいたのだが、電波がなければ何もできない。
追い風&下り。
1時間20kmペースでかっ飛ばす。
アルゼンチンのあの劣悪な交通状況を忘れたわけではない。
しかしここは、1時間に数台程度しか車は通らない。
交通量が少ないためか、路面もきれい。
これなら安心して走れる、快適。
午後、風向き変わる。
パタゴニアといったら偏西風帯。
僕の記憶でも、常時猛烈な西風しかない。
この辺はまだ本気モードではないのかな。
風向きは不安定で、死ぬほど強風というわけでもない。
ただまあ、向かい風ですな。
先程までの快走とは打って変わり、下をうつむいてジリジリと進む。
車が止まり、フルーツと水を差し入れてもらった。
ありがたい。
その場でかぶりつく。
フルーツなんて久しぶり、ウマイ。
280km無補給と言っといて補給されてんじゃねえか、とか野暮なツッコミはやめてくださいね。
この120kmの幹線道路の区間も店一軒たりともなく、どうなることかと思ったがなんとか街に到着。
4日間280kmぶりの街。
さあ食いまくるぞー。
Tres Lagos, Argentina
9944km (Total 146638 km)